企業文化に「ユーモア」?

村上:「リンクトイン」のビジョンは世界共通で、我々はエコノミックオポチュニティー、いわゆる仕事の機会を創出していこうとしています。すべてのビジネスパーソンをつなげて機会を生み出していく。それは日本でも変わりません。

 ただ世界と比べると、日本のビジネスパーソンを取り巻く環境は大きく違います。例えば学生の就職活動。日本でもこれから先は通年採用が少しずつ広がり、インターン生も増えるでしょう。早い段階から業界研究を始める学生も増えるはずです。

 僕は「自分は何を楽しいと感じるのか」「働いていて楽しいポイントはどこか」を早く見つけることが大切だと、学生に伝えたいと思っています。

 現在、就活生が実践している自己分析は企業側のニーズから生まれたものです。大学が職業訓練校のようになって、東証1部上場企業の人事部は、大学の就職課に対して「こんな人材がほしい」と要求するようになりました。大学側はその声に忖度(そんたく)して、現在のような自己分析ツールを生み出していった。

 大学と学生のゴールは、いかにいい会社に入るかということ。受験と同じです。そこから逆算で就職活動をしているので、考え方そのものがゆがんでいるような気がします。

 リンクトインという会社はとても面白いんです。5つの文化を大切にしていて、最初がトランスフォーメーション、つまり日々、変わり続けよということ。2番目に大切なのがインテグリティー。誠実にやりましょうと。これに、コラボレーション、ユーモア、リザルト(結果)と続くんです。

 結果も重視するけれど、それよりも前にユーモアが重んじられる。グローバル企業の中でも、大切にする文化として「ユーモア」があるのは、おそらくリンクトインくらいです。

 会社の文化というものは、それを体現していればほめられるものです。ですから、日々変わり続けて、誠実にコラボレーションしながら、楽しく結果を出す人が一番偉い、というわけです。そんな人物をリンクトインでは評価する、と。

麻野:なぜ「ユーモア」が入っているのでしょう。

村上:楽しく仕事をしていた方が、パフォーマンスが上がると信じているのでしょうね。これは、いろいろな論文も出ていますが、実際に心理的安全性が担保されていて、楽しくコラボレーションしている職場には、ハイパフォーマーが多い。それを会社全体が信じているわけです。

麻野:「ユーモア」というのが面白いですね。「エンジョイ」などという言葉はありそうですが、「ユーモア」というのは独特です。「エンジョイ」には「自分が楽しむ」要素が強いけれど、「ユーモア」には「人を楽しませる」側面が強いですから。

村上:実際にグローバルの幹部クラスになると、みんな話が面白くて、人を楽しませるのが上手です。そしてユーモアは、コラボレーションとも密接にかかわっていると思うんです。

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