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社内にも成果を「伝える」必要がある

小泉:メルカリでは、どんな価値を会社に提供して、インパクトを与えているのかということを、常に求められています。そしてそれを基準に評価もされる。

 実際、社員の給与を決める時には、いくつかの部署のマネジャー6人くらいが会議室に集まって、それぞれの部下について一人ひとり、「彼はこういうパフォーマンスで、バリューに沿ってこんなふうに行動したので、このくらい昇給させたい」とプレゼンをするわけです。それに対してほかのマネジャーが該当者の行動やパフォーマンスについて客観的に意見を言い合って、給料を最終的に決めています。

 ただこの時、一人ひとりの業務がうまく可視化できていないと、「彼は何をやっているのか分からないのに、どうして給料を上げるんだ」となってしまいます。

 こんな問題は、終身雇用や年功序列の会社では起こらないと思います。こんな議論をしなくても、入社年次に合わせて全員一律で上げましょう、となるわけですから。

 一方でメルカリでは、社員一人ひとりが厳しい目線で評価されていく。インパクトのある結果を出して、それを可視化して伝えていく必要があります。

麻野:社内が労働市場になっているわけですね。

小泉:メルカリでは社内でのやり取りにSlackを活用していますが、情報はオープンにしたいと思っているので、例えば広報のチャンネルだと今、600人が入っています。社員の600人が広報の仕事を見ているわけです。

 それは何も監視しているわけではありません。自分の仕事のインパクトを上げるために、ほかのグループが何をしているのか把握しておいた方がいいと思ったら、参加できるような環境が用意されているんです。

 カギがかかっていて、限られた人しか見られなくなっているのは、インサイダー情報や人事情報など、情報管理が必要な場合だけ。それ以外は基本的にはフルオープンにして、エンジニアが何を開発しているのか、広報が今どんなメディアとコミュニケーションをしているのかも、社内で共有しています。

 その中で、自分の価値や仕事の成果をどのようにインパクトのあるものにしていくのか、考えていかなくてはいけない。

 最近は「Trust & Openness」についてよく社内で話しています。これまでお話したように、メルカリでは社員を過度にルールで縛ったりしません。それは信頼関係があって、いろいろな情報がすべてオープンになっている文化だからこそ実現できることでもある。

 それぞれの人に「人格」があるように、企業にもやはり「法人格」というキャラクターがある。おそらく昭和型の大企業はさほど人格が必要なかったのではないでしょうか。どの会社に入っても、基本的には年収が少しずつ上がっていって、働き方などもほぼ同じで。事業モデルこそ違いはあるけれど、働く人から見た時の会社の人格は、ほぼ同じだったのかもしれません。

 けれど、これからの時代、メルカリという会社はこういう人格で、こんなバリューが人格の根底にあって、「Trust & Openness」の雰囲気が好きな人は働ける……というふうに、会社が人格を持っていくのではないでしょうか。そして、その人格が愛される会社が、選ばれていく。