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人生100年時代、「50歳」は折り返し地点

麻野:トヨタ自動車も「モビリティーカンパニーになる」と言っています。その過程で、もっと人材を流動化させないと、AI(人工知能)や自動運転が普及する時代に、まったく戦えなくなってしまう。

 そんな危機感があるから、先日の会見で豊田章男社長は終身雇用の限界に触れたのでしょう。ただ、今まで終身雇用を信じてきた50代以上の世代がどうするのかは、どうするか考えていく必要があります。

 今までは、大学卒業まで20年勉強して、定年退職まで40年働いて、それで老後の20年を楽しむというような生き方でした。

 ただ今は、人生100年時代と言いますよね。例えば仮に20歳から80歳まで働くことになれば、50歳という年齢はちょうど「折り返し地点」です。改めて、50歳という年齢をどう捉えるのか、再定義しないといけないでしょう。

 その中で、50代以上の世代が持つスキルや経験をどのように生かしていくか。

小泉:会社にムダな人はいません。社員をどう生かすかが経営者の手腕です。

麻野:同時に社員の方も「もう逃げ切ることはできない」と理解して、50歳からでも55歳からでも、ここから新たに学び、成長するというメンタリティーを、みんなが持つべきでしょう。

 小泉さんがおっしゃるように、今までやってきたことも決してゼロではない。過去の経験と新しいテクノロジーをかけ算したら、パフォーマンスにつながるかもしれません。

小泉:終身雇用だと、定年まで会社の「外」に出なかった人がたくさんいたはずです。ずっと同じ会社の中で働き続けてきた。また閉鎖的で他社とノウハウを共有することはご法度な印象でした。けれど今は、変化が速く、すべてを自社で完結するよりも、他社とのコラボレーションが求められるオープンイノベーションの時代になっています。

 これまで「外」を意識しなかった50代以上が、じゃんじゃんと外に出るようになると、新しい気づきも生まれるはずです。「ああ、こういうセカンドキャリアもありかもしれない」と発見するかもしれない。

 また外に出る機会を増やさないと、産業の壁を越えたイノベーションやコラボレーションも起こらない。そのままでは国の競争力を高められないのではないでしょうか。