リファラル採用を支えるミッションとバリュー

小泉:それ以外の福利厚生とか人事施策なども、基本的にはバリューにのっとって考え、バリューにのっとって社員に説明しています。「なんでこの施策を考えたんですか」と聞かれたとき、経営者の好みではなくバリューにあるから、と答えられるようにしないといけません。

 例えば創業期、「なるべくオフィスに来よう」と声を掛けました。いろいろな働き方があるけれど、メルカリのバリューは「All for One」。1つのチームとして難しい課題を越えていくことにある。

 社員がオフィスに来るのは、経営者が働かせたいからではなくて、「All for One」という僕たちのバリューに基づいてやっている。そんなふうに、1本の軸があるか否か。バリューに即して考え、実行する。これを徹底してきました。

麻野:そのバリューがきちんと浸透しているから、現場の社員が採用に関わっても、うまく回るのでしょうね。

小泉:それがない会社がリファラル採用をやろうとしたり、会社のブランディングをつくろうとしたりしても、柱がないので難しいのではないでしょうか。経営者が交代するタイミングで、それを実践する企業もあるけれど、組織編成だけを変えて終わるケースも多いように感じます。

 ただやはり、組織編成が変わっても、基本的に会社の根幹にある考え方が変わっていないと、組織は生まれ変わらない。軸となる部分を言語化して、ミッションとバリューにコミットできない会社は立ちいかなくなる、というくらいの覚悟が経営者にないと、それは文化にはなりません。特に僕たちの組織は、これまでの多くの日本企業のように、上から下へという「縦の関係」ではなく、みんながフラットで自由度が高い「横の関係」です。だからこそ、ミッションとバリューがなければ、組織は動いていきません。

麻野:メルカリの採用の部分だけを見ても、これまでのように求人広告を出して100人の応募者を集めて97人落とすことが成功とされているような価値観は、変わっていくのかもしれませんね。

 そもそもメルカリのように、「3人に声を掛けて3人を採用できたら最高」と考えるようになること。その上で、外部から人を集めるのも、会社の魅力を伝えるのも、採用する人を選ぶのも、全て社員が自分事として関わっていく。企業と個人が対等な関係だからこそ、そんなリファラル採用が成立するのかもしれません。

 メルカリが実践する企業と個人の対等な関係。それは採用のシーンばかりではなく、ほかでも見ることができた。対談中編では、メルカリが実践するほかの取り組みと、その根底にある思いについて聞いた。