では、少なくとも有権者が、「アベノミクス」や他の経済政策よりも、議員定数削減の問題を重視したのはなぜか。その答えは、このコンジョイント分析からだけでは分からないが、有権者の国会議員に対する強い不満足感(「無用の長物」感)の表れだとも考えられる。メディアは、政党の主張を「大衆迎合」と一蹴するのではなく、有権者自身が議員定数削減にこだわる理由について、より深く検討する必要があるのではないか。

ビッグデータ解析で真の民意をつかめ

 最後に、今回行った調査の意義を強調したい。我々は、安倍首相の突然の衆院解散表明にもかかわらず、選挙運動期間中に全国の有権者に参加してもらう調査を実施し、最新の統計手法に基づいて、各党が訴えた公約が、どのように有権者の政党支持態度に影響を与えたかを厳密に計量分析した(この調査にかかった費用はわずか70万円強である。通常の世論調査にかかるコストと時間に比べて、破格に安く、かつずっと早い)。

 そして、投開票から1週間以内に、このように記事を書くことができた。政治学における統計分析やデータ収集の技術は、過去10年ほどの間に劇的に進歩している。政治学者がありとあらゆるデータ(いわゆるビッグデータや、リアルタイム・データを含む)を大量に入手し、タイムリーに世界の重要な問題に関してコンピューターを駆使した統計分析を行い、その結果を一般向けに迅速に公開することを競う時代になってきているのだ。日本においても、このようなデータに基づく政治や選挙に関する研究をめぐって、学者たちが積極的に論を戦わせていくことが、日本の政治をより良くすることに貢献するのではないかと、我々は強く思っている。

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