残る争点は、議員定数削減に関する問題であるが、今回の最大の「隠れ」争点であったとも言える結果を示している。【図1】では、他の争点に比べ、「飛行機」のバラツキが、左側にも右側にも大きい。自公両党の「選挙制度調査会の答申を尊重し、よりよい選挙制度改革に取り組む」という、やや玉虫色の立場に対して、「比例区の定数削減には反対」という社民党と共産党の立場は、5%程度も支持率を下げることに貢献している。

有権者は「議員定数削減」にこだわった

 自民党の公約と比べた上で、全ての争点、全ての政策の中で、最も有権者にとって評判が悪かった政策が、「比例区の定数削減には反対」である。有権者は、「身を切る改革」にあからさまに反対する政党に、強い嫌悪感を覚えたのかもしれない。

 一方、「議員定数削減を実現する」(民主、次世代、生活)という立場は、4%近い支持率上昇に寄与している。さらに、「議員定数を大幅に削減する」という維新の党の政策は、6%以上もの支持率の上昇をもたらしている。「身を切る」か、「身を切らない」か。我々の暫定的な分析結果によると、これが今回の総選挙において、有権者にとっては最も重要な争点の1つだったようである。

 だからと言って、この争点が選挙結果の決め手になったわけではない。実際、定数削減を訴えた維新の党、次世代の党、生活の党は、議席を減らしている。民主党は議席を伸ばしたものの、目指していたほどの議席増は実現できなかった。

 今回の選挙で、議員定数削減が最大の論点に浮上したとも言い難い。2年前の11月、テレビ中継された党首討論の場で、当時の民主党・野田佳彦首相が、自民党・安倍総裁による「来年の通常国会での定数削減と選挙制度改革」を実施する「約束」を確認した上で、「約束通り」衆院を解散したことは周知の通りである。約束がほごにされたことに対して、今年の11月、野田前首相は、「重大な約束違反、強い憤りを覚える」と厳しく批判している。しかし、その後の新聞の論調は、議員定数削減を訴える立場を強く支持したわけではない。

 その例は、読売新聞の12月9日付の社説である。「議員定数削減 大衆迎合の主張は嘆かわしい」と題した社説で読売新聞は、「国会議員が身を切らなければ、消費税率引き上げなど『痛み』を伴う政策への国民の理解が得られない、と思っているのだろう。何か勘違いしていないか。(中略)『身を切る改革』を否定するわけではないが、定数削減は国民受けするという発想からそろそろ『卒業』してはどうか」と、議員定数削減を訴える立場を逆に批判している。こうしたメディアによる、「身を切る改革」を争点としようとする政党に対する批判が、議員定数削減を「マイナー」な争点にしてしまったのではないだろうか。

次ページ ビッグデータ解析で真の民意をつかめ