日本では、安倍政権が成長の3本の矢として女性の活用を提唱しています。

 日本では女性に対して、いまだに伝統的な役割を果たすことが求められていると聞きます。女性を活用することが経済成長に資するかどうかはともかく、日本の女性が、もっと広く社会で活躍できるようになることに反対する理由は全くありません。女性にとっては極めて重要なことで、疑いようもありません。家庭での意思決定に女性の意向がより強く反映されますし、子供への投資がもっと増え、次世代のためにもよいインパクトがあります。大きな間違いの1つは、経済成長のために女性活用が必要だと主張することです。

ゼロから制度を導入して都市を作ってもうまくいかない 

 女性活用に関するビジネススクールのケーススタディーもあります。でもこれ、なぜなのでしょう。

 人口の半分が(社会の意思決定に際して)何の力も持てないなんて、そもそもとてもおかしなことです。それが成長を促すかどうかなど、そもそもケースにする必要なんかない。それに反対する理由がない。たとえ経済を成長させないとしたって、女性に活躍の場を与えるというのはとても大切なことですよ。

最後に。内生的成長理論を確立したことで知られるポール・ローマー米スタンフォード大学教授が、既得権者のいない、理想的な制度を最初から導入した都市をゼロからつくるという「チャーター・シティー」の構想を打ち上げ、ホンジュラスで導入するかどうかが検討されました。このような試みに対してどうお考えですか。

 制度の整った理想的なゼロから都市をつくる、というのは理念としては素晴らしいと思うのですが、実行に移すとすれば、かなり乱暴な試みです。ローマー教授は大変尊敬していますが、かなり勇気のいることでしょう。本気で取り組むとすれば、無数の困難にぶちあたると思います。ホンジュラスで最終的に実現しなかったのは、政府が結局、方針を変えたからなどとうかがっています。先進国からの優れた制度の提案がほとんどなかったとされ、それは現地の政治的特権層が危惧したからとも聞いています。今のところ、失敗に終わりそうな情勢ですね。万が一成功したとしても、グローバルに展開できる貧困解決策ということにはならないと思います。

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