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マネジャー:先生、今回ここに来るまで、理想のリーダーや上司像を何か「自分の外にあるもの」と捉えていました。けれど、今日お話しして、その答えが「自分の中」にあることが再確認できました。同時に、これまで教えていただいたことが今日のお話により、全てつながってきたようにも感じています。

会社も、人も、社会も幸福にする仕事

老教授:これまで、「マネジャーの本当の役割とは?」「どのように目的を設定するのか?」「マーケティングとは?」「イノベーションとは?」というテーマでじっくり語り合ってきましたね。そして、今回が「リーダーシップ」。この5つのテーマは、ドラッカーの経営学の中でも根幹的なことです。あなたからの率直な問いかけに答えることは簡単ではありませんでしたが(笑)、私も対話を心から楽しめましたし、多くのことを学ばせてもらいました。最後に、以前にもご紹介した、ドラッカーのこの言葉をお伝えして終わりたいと思います。

「マネジメントとは、事業に命を与えるダイナミックな存在である。そのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない。」

(「現代の経営」より)

 本来のマネジメントは、ダイナミック(動的)で、リーダーシップが求められる仕事です。人々の潜在能力や仕事ぶりに「命」を吹き込み、何かを新たに生みだす支援をし、結果的に多くの人の人生を豊かにすることができる仕事です。それだけやりがいのある、大切な仕事なのです。

マネジャー:自分自身、マネジャーという仕事にプレッシャーや義務感を感じすぎていました。先生と対話し、ドラッカー氏の考えを学ぶ中で、マネジメントによって多くの社員を笑顔にし、そしてお客様や社会に幸福を届ける、その大切な本質部分を思い出せた気がします。

老教授:「企業とは人であり、その知識、能力、絆である」――。これが、ドラッカーの一貫した思いでした。彼はもうこの世にいませんが、彼が目指した理想の組織社会を、あなたのような若きマネジャーたちが実現してくれることを、空の上から祈っていると思います。さらに素敵な成果を上げて、多くの社員を幸福にしているあなたとまた会えるのを、楽しみにしています。

(この項終わります)