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老教授:そのとおりです。ドラッカーは、リーダーとして信頼を得るために、そして上司、マネジャーとして組織や人を活かして成果を上げるために、この真摯さを最も重視しなければいけないと言います。「真摯さ」というと、古くさく聞こえるかもしれませんが、どんなに時代が変化しようとも、人間組織がまとまっていくためには欠かせない、リーダーの根本的資質です。

マネジャー:他人をリードしようとする前に、「自分自身は何を目指しているのか」「この組織で、このチームで、このメンバーと一緒に、どのようなものを創り出したいのか」という点を明確にすることが大切になりますね。

老教授:そのとおりです。ドラッカーが、他の人をマネジメントする前に、自分の内面をよく知り、活かすこと、すなわち「セルフ・マネジメント」を重視しているのは、まさにそれが理由です。

「良き上司」の条件

マネジャー:良い上司の条件とも、この話はつながっているのですね。

老教授:そのとおりです。ドラッカーは、100年近い生涯の中で、様々な組織を観察し、「会社は人」だということを確信していました。だからこそ、「真摯さ」をとりわけ重視していました。「真摯さを絶対視して、初めてまともな組織と言える」とまで断言しています。そんな彼が「どのような人を上長やマネジャーのポジションにつけてはいけないか」について、このような警鐘を鳴らしています。

(1)「強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない」
(2)「何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネジャーに任命してはならない」
(3)「真摯さよりも頭の良さを重視する者をマネジャーに任命してはならない」

(「マネジメント」より)

 こと組織の「長」という立場に立つ人を任命する上では、この3点に留意すべき、というのです。

マネジャー:確かに、これまでの自分の上司のことを思い返すと、組織をしっかりまとめて成果を上げる人とそうでない人の違いが、こういう点にあったのかもしれません。自分自身にとっても大きな課題です。自分のマネジメントスタイルにも見直すべき点があると、強く思いました。

老教授:大切なのは、まず自分の「内面」です。内なる情熱、志、仕事の目的に日々目を向け直して、それを率直に、愚直に仲間やメンバーに伝え、彼/彼女らからの協力や貢献を引き出すことです。あなたのように、誠実に組織や人に向き合おうとしている人であれば、そういう上司、リーダーに必ずなることができますよ。