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 何らかの変革を実現したトップが共通して言及することがある。「繰り返し繰り返し、延々延々、同じことを訴えてきた」ということである。

 社内報やパンフレットやポスターだけではない。トップのスピーチはもちろん、トップ自ら時間を割いて社員と頻繁に会議を持ち、社内食堂で一緒に食事をし、イベントというイベントにはすべて出向いて、そこでひたすら社員に訴え続ける。100回も200回も時には1000回も、同じことを繰り返し繰り返し、延々延々社員に訴えてきたというのである。

 結局、組織は感情を持つ人間で構成されているものである。その組織を変えるということは、組織に帰属している一人ひとりを組織意図に沿って動かすことに他ならない。そして、そうした一人ひとりを変えていくのは、結局は「生々しい感情」に訴え、「泥臭い行動」を続けるといった「人間臭いスタイル」が一番の王道なのだろう。

 トップ自らが、莫大な時間とエネルギーを注いで、ひたすら改革への思いを言い続けて行動をする。そのトップのひたむきな姿に共感・共鳴して、一人また一人と賛同者が増え、少しずつ少しずつ変革に向けての熱量が上がっていく。ひいては、組織全体に熱が浸透して変わっていくことになるのだ。

 組織の変革は難しいが、変革の鍵は意外にプリミティブなところにあるのかもしれない。

イラスト:オゼキ イサム