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マネジャー:マーケティングについては、社内の人事研修でも勉強しました。市場分析をしたり、「4P」という理論を使って販促計画を立てたりする、というものですよね。

老教授:そういった理論も学んでおくべきですが、その前に最も重要なことに焦点を合わせるべきです。

マネジャー:最も重要なこと、ですか。

老教授:はい。ドラッカーは、ここでもシンプルに本質を語っています。

「マーケティングとは顧客にとっての価値からスタートすることである。」
(「マネジメント」より)

マネジャー:「顧客にとっての価値からスタートする」…。

老教授:そうです。これも誤解を怖れずに言えば、多くの会社で今行われている仕事は、「顧客にとっての価値からスタート」していないから問題なのです。その結果、無駄な業務、モチベーションの下がる仕事やその指示、以前から習慣で行っているためになかなかやめられない仕事などが増えています。

マネジャー:どうすれば、顧客にとっての価値を、発見していくことができるのでしょうか。

「マーケティング」の大本となる3つの問い

老教授:ドラッカーは、役立つ「3つの問い」を紹介してくれています。次の3つです。

1つ目の問い:あなたの「事業」とは何ですか?
2つ目の問い:あなたの事業において、「顧客」とは誰ですか
3つ目の問い:顧客は何を「価値」として買いますか

マネジャー:随分シンプルですね。シンプルすぎて逆に難しいと言うか…。

老教授:「事業とは何か」という問い1つとっても、相当考え抜くことが必要です。例えば、建設機器を売る、システムをつくる、自動車を売る、衣類を売る、と言っても、事業の定義としては足りません。他社も同様の事業に取り組み始めている、もはや時代のニーズと合わなくなっている、ということがあるからです。

マネジャー:我々で言えば、業務用機器販売と、関連するシステム開発サービスという事業を、全国の中堅中小企業様に向けて行っています。顧客は、故障しない安定した機械やシステムを、低価格・短納期で提供してくれることを価値として買っていると思うのですが。

老教授:きれいで無駄のない答えですね。

マネジャー:何か、おかしいところはありますか。