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老教授:ドラッカーはこう言っています。

「企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。」
(「現代の経営」より)

企業活動が目指すべきは「顧客の創造」

マネジャー:「顧客の創造」という言葉は、聞いたことがあります。ただ、聞いてもあまりピンと来ません。要するに、営業を強化して、沢山売っていこう、という考えではないのですか。

老教授:そうではありません。あなたは、「顧客」という言葉の意味は何だと思いますか。

マネジャー:「自社から商品やサービスを買ってくれる人」ではないのですか。

老教授:一般的にはそう思われています。しかし「顧客」を辞書で引いてみると、「得意客」「ひいきにしてくれる客」という意味が出てきます。

マネジャー:「得意客」「ひいきにしてくれる客」ですか…。

老教授:そうです。ドラッカーの言う「顧客の創造」の「顧客」とは、この「得意客」「ひいきにしてくれる客」の意味が近いです。単純に「売買契約が成立した相手」ではなく、自社の商品やサービスを特に強く気に入ってくれて、長く継続して関係を築ける相手が「顧客」です。新規・既存にこだわらず、そのようなお客様を1人でも多く創ることに焦点を当てる。これが、「顧客を創造する」ということです。

マネジャー:お客様の求めているものを深く知り、自分たち独自の価値を磨く努力をしなければ、「顧客」は創造できないですね。

老教授:そうです。いきなり広い市場を対象にするより、まずは特定のニーズを持ったお客様に対して、とりわけ強い自社商材の価値を提供していくことで「顧客」が創造されていきます。余談ですが、ドラッカーの「顧客の創造」という言葉の原文は「create a customer」です。「customers」ではなく「a customer」としていることに、「不特定多数」ではなく、まずは「ある特定の」相手に徹底的にファンになってもらおう、というドラッカーのメッセージが込められています。

マネジャー:確かに、そうなれば、経営も安定しますね。安易な価格競争に陥ることもないですし。また、お客様が他のお客様を紹介してくれる、というケースも増えそうです。