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 醜いなんて、言い過ぎかもしれない。でも、私の場合には……、

・年下の男性に甘えた声を出してすり寄ったり
・上司の男性のちょっとばかり曲がったネクタイを、まるで奥さんのように直したり
・気分次第で、部下たちを怒鳴りちらしたり

 同じ女性として嫌悪感を抱いた、先輩女性たちの言動の数々が、まるでテレビのスイッチを押されたように、脳内テレビに映し出される。

 その度に、「いいじゃな~い。これが楽な処世術よ~」という悪魔のささやきと、「ダメだ! 負けるな~! ああなったら終わりだ!」と必死で語りかける自分が格闘する。

 で、今は、そう“今のところ”、後者の「ダメよダメダメ~(←既に古い感じがするけど)」的自分が勝っているのである(←と、信じている)。

ロールモデルが機能するのは若い世代

 改めて説明するまでもないが、「ロールモデル」は、もともとはリーダーシップ研究で蓄積された知見から生まれた言葉。「上司の背中を見て、部下はのびる」というもので、日本の徒弟制度が原型とも言われている。

 特に最近は、女性のキャリア意識向上に(この表現は個人的には好きではないが、今回はこれがテーマではないので、このまま使います)、ロールモデルが頻繁に取り上げられ、

 「異業種や異性であっても、『ああなりたいなぁ』と思える人(=ロールモデル)を、意識的に見なさい。そして、ロールモデルを漠然と観察するのではなく、リーダーシップに関する何らかのモデルに基づきながら観察・考察し、分析すると、学び取るポイントが明確になる」というような教育が行われている。

 「キャリアアップのためには、自分の観察できる範囲で印象的な人、自分よりも高いレベルのリーダーシップを発揮している人、学び取りたい行動ができている人を選定しなさい」と、リーダー研修教育でロールモデルがクローズアップされているのだ。

 だが、ロールモデルが機能するのは、プレミドル世代まで。既にリーダーとして活躍しているミドル世代には、なぜかアンチロールモデルばかりが目につくようになる。かつて憧れた上司を思い出すことがあっても、自分の限界もわかるミドルたちは、「自分には無理」なんて気持ちにもなる。

 喪失、変化、多重役割、体力や身体機能の衰え、社会的な限界の認知、時間的展望の狭まりなど、リアルミドルならではの、“はじめて”の出来事の数々に、うろたえ、戸惑い、リスクに敏感に反応する。