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 「つい数年前までは、部下をどう育てればいいのか? とか、現状を打破するにはどうしたらいいんだ? とか、自分の問題だけに追われていたの。今思えば、それって結構、楽だったなって。だって、仕事のことだけ考えてればいいんだもの。でも、最近は仕事も家庭もいろいろで。息子が一人暮らし始めたり、夫が関連会社に転籍になったり、親の具合が悪くなったりと、次から次へと問題がおきる」

 「でもって、目の前には、まだまだ育ってもらわなきゃ困る部下が山ほどいて、日々決断を迫られ、自分もまだまだキャリアアップしなきゃだし……。カラダがいくつも必要な感じで。日々、悲鳴をあげてる(笑)」

 「今までも、なんとか乗り越えてきたから、なんとかなるって思ってるんだけど、不安が全くないって言ったらウソになる。まぁ、そういう年回りなんだよね、きっと。だから1つひとつやっていくしかないなぁ~、って覚悟してるのね」

 「ただね、ふと前を見ると、いつまでも甘えた“おばさん女の子”がいるわけですよ。ああはなりたくない。そういう先輩を見てると、石に齧りついても、自律した素敵な女性になるぞ!って。あんな風な年の重ね方だけはしたくないって、思うんだよね。……なぁ~んて、既に後輩から、そんな風に見られてたらショックだけど……。まぁ、そんなことはないだろうと、信じてがんばるしかない。お互いがんばろ~ね~」

 こう彼女は明るく、笑い飛ばしたのである。

「こうなりたい!」より「ああはなりたくない」

 今回、彼女の話を、“40代後半の誰もが遭遇する問題“として取り上げたのは、私自身が似たような状況に置かれているからに他ならない。

 人生を問い直し再構築する分岐点とされる年齢にリアルになってみると、「こうなりたい!」という気持ちよりも、「ああはなりたくない」とアンチロールモデルばかりが思い出され、私自身、正直、戸惑っている。

 “アンチロールモデルの脅威”とでもいうのだろうか。

 「それって男性が、ごますって出世していく先輩を見て、あんな“ごますり男”になりたくない! って思うのと一緒?」

 はい、そのとおりです。

 「いい給料もらって、口だけ動かして、自分じゃ働かない、“使えないおじさん”になりたくないな! というのと同じ」

 ええ、それも同じです。

 つまり、「ああなりたい」ではなく、「ああなりたくない」人。そんな過去に遭遇した“先輩たちの醜い言動“ばかりが、思い出されてしまうのである。