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 実際、脳科学の領域で、男女の脳の構造の違いを解明する研究は進んでおり、情報処理方法などに違いがあるそうです。一般的に、男性は、物事を論理的、体系的に理解する傾向が強いのに対して、女性は感性重視で、共感し、理解、納得する傾向が強いと言われています。

 それゆえ、全体像を捉え、目的地にたどりつくための場を仕切る必要のある会議のファシリテーションは、女性はあまり得意ではないと言うわけです。もちろん個人差が大きいものですので、女性だから論理的ではないということには決してなりません。ただ、一般的にそういう傾向があり、自分が該当するかもしれないので気を付けることは、ビジネスでマイナスには働かないでしょう。

 私は、今でこそロジックが強くて、男性っぽいと言われますが、20代に勤めたコンサルティング会社では、無駄なおしゃべりで、感情的で、話がよく飛ぶ“典型的な女性”タイプだと言われたものです。その頃、上司から脳科学をベースにした男女のマネジメントスタイルの違いを指摘され、徹底的に鍛え直されました。男性が多いビジネスの場において、気を付けなければいけない作法があるので、「自分の脳が今どう動いているのかよく考えて仕事をしろっ!」とよく上司に指摘されたものです。そして、女性マネジャーとして、やっていける方法を身に付けて行きました。

 そこで今回は、「だから女性の管理職はダメなんだ!」と言われないために、会議ファシリテーションの基礎スキルについてご紹介します。

 ポイントは、大きく三つあります。(1)議論の出発地点と目的を明確にして、共有すること。(2)目的地点に到達するために、会議で話し合うべき論点を設定すること。(3)会議中に発言を引き出し、議論が発散してきたらまとめるという“会議のさばき方”です。この3つに注意しながら、会議の準備、そして会議の進行を進めることで、確実に会議の効率や議論の密度は上がります。以下、詳しく見ていきましょう。

会議の全体像をつかむ

 会議は自分の意見をただ言う場所ではありません。また、人から意見を単にもらう場所でもありません。このため、「論点をはっきりさせ、達成したい目的を明確にする」ことが極めて重要になります。

 そして、参加者を誰にするか、参加者からどういう発言を引き出したいか、どういう対立が起こりうるか、そのためにどんな事前資料の準備や根回しが必要かなど、会議をファシリテーションするための“全体像”をきっちりとつかんでおく必要があります。

 いわば「仕込み」です。私はコンサルティング会社に勤めていた頃に、会議ファシリテーションの基礎を叩き込まれました。その後事業会社の役員会などでファシリテーターを務めることが多かったため、実践力が身に付きました。その間、ずっと言われてきたのが「仕込みを怠るな!」でした。

 今は、スマホがあるから現地で調べればいいやという方もいるかもしれませんが、海外出張に行く時に、お客様先のオフィスのある地図も持たずに、現地の情報を何も調べずに行く人はほとんどいないでしょう。事前に安全情報を調べ、現地の地図で大まかな場所を調べて、無事にたどりつけるように詳細まで調べていく方が多いのではないでしょうか。万が一何か起きた場合を考え、旅行保険に入り、日本大使館の連絡先などを準備していきませんか?

 会議もまったく同じです。会議をうまく仕切るために、議論の出発地点と目的地点を明確にし、その場で出てくる発言や対立などの障害を想定し、それらをどうやって乗り越えるか。自分の頭の中に地図を作っておくのです。