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老教授:そうです。そして、そのような斬新な知恵やアイデアは、会社の上層部が逐一指示して生み出されているものだと思いますか。

マネジャー:それはないと思います。むしろ、そのような会社は現場の人たちが「ワイワイガヤガヤ」話し合って知恵や知識を生み出しているようにも見えます。

老教授:そのとおりです、知識労働の生産性は、経営上層部が「管理」して高まるものではないのです。現場でのかかわり合いや話し合いの中で、知識労働者とその知恵がスピーディーに組織内を巡り、商品やサービスにどんどん反映されているのが昨今の成長企業です。かつての日本企業にも、そのような特徴がありました。ドラッカーは、このように言っています。

「経済学も現実の経営も、肉体労働者をコストとして扱う。しかし、知識労働者を生産的な存在とするには、彼らを資本財として扱わなければならない。コストは管理し減らさなければならないが、資本財は増やさなければならない」(「プロフェッショナルの条件」より)

マネジャー:知識労働者はコストではなく資本…。増やしていくべきもの…。

知識労働者はコストではない

老教授:そうです。知識労働者をコストのように考え、統制的に管理し、活動の余地を狭め減らしていくのは間違いです。資本財として、どんどんその活躍の場を広げ、増やしていく事が企業の業績向上にもつながります。ここで、冒頭に話のあった「管理」のしすぎがなぜ適さないか、という話にもつながったのではないでしょうか。

マネジャー:今日ここに来るまで、メンバーや従業員を、コストのように考えて機械的な管理を強め、業績を急いで上げたいとばかり考えていました。しかし、お話をして、そもそものゴール設定を変えなければいけないことに気づきました。

老教授:気づいていただけてよかったです。マネジメントは人の創造性や強みを引き出し、会社の知識資本を増やしていくことに注力しなければいけません。その目的をセットし間違えると、仮に規模や体格が大きくなったとしても会社が成長しているとはいえない状態になってしまいます。

マネジャー:ありがとうございました。今日お話しさせていただいた内容を軸に、わが組織のビジョンを再度練り直し、実行に移していきます。次回、1カ月後に伺いますので、ぜひまた相談に乗って頂きたいです。

老教授:こちらこそ、また次に会えるのを楽しみにしています。