:高田馬場のグラウンドから雀荘にそのまま行っていた。腎臓って破裂したら、もちろん痛いし、ショック症状は出るんだけど、腹膜の中にあるから、我慢さえしていれば、取りあえず大丈夫なんだ(笑)。

小田嶋:こいつはその状態でマージャンを打っていて、しかも勝ってた(笑)。

:勝ってたのに、途中からあまりにも痛くなって、トイレに行ったら、血尿どころじゃなくて血だけ、が出てきたんですよ。それを見ているうちに、何かふらふらっときて、俺はもう・・・・・・だめ・・・・・・かもしれない・・・・・・ということになって。

小田嶋:それで雀荘から救急車で病院へ行ったんでしょう。勝っていたから、勝ち逃げは汚いぞ、みたいな話で。

:メンバーに、こういうことでもう無理だ、と言ったら、じゃあ、ちゃらでいいのか、と詰め寄られて。ちゃらでいいから、許してくださいって。

痛恨の撤退。

「これはもう、家族を呼んでおいたほうがいい」(えっ・・・)

:それで病院に行って、意識が遠のく僕の脇で、医者が「内臓が破裂しているから親を呼んでおいた方がいい」とか言っている声が聞こえたの。えっ、俺、内臓が破裂してるの? これ?? と。

小田嶋:そういうときでも、岡は明らかに痛くないのよ。

:いや、痛いよ。

小田嶋:痛いだろうけど、痛覚が人より少ないの。ミミズのレベルぐらい。

:そんなことはない。

小田嶋:おそらく痛みにすごく強いと思う。

:いやいや、僕にだって痛覚はちゃんとある。

でも我慢強い方という感じではないので……。

小田嶋:我慢強いとかじゃなくて、痛みに強い。だって高校のときに、「俺、何だか熱っぽいと思うんだけど」と岡が言い出したことがあったよね。何、甘えたこと言ってるのよって、俺は思ったんだけど、「明らかに俺、熱があると思う」と言い張るから、ちょっと保健室まで付き合って、そこで熱を測ったら39度8分だった。これ、ちょっと熱っぽいというレベルじゃないだろう、という話になって。

39度8分は普通、ほぼ動けないレベルですね。

小田嶋:歩いて帰っていったからね、こいつは。

:腎臓破裂のときは、おふくろが腎臓を心臓って聞き間違えて、喪服で病院に駆けつけていたよ。俺が生きている、と聞いただけで、おふくろはものすごく驚いていた。

小田嶋:おふくろさんは、大変だったと思うよ。

:だから、ちょっと話を仕事に戻すと、全身全霊を懸けたり命懸けになったりしてやるって、そういう人はそういう人で幸せだけど、そんな気になれないな、となったって別にいいと思う。

 だけど、どうせなら楽しんだ方がいいんじゃないか。だったら、どうやれば楽しいのか、自分で考えた方がいい。そうすれば、結果的に仕事に対して熱心になる。それはまさに面白いから熱心になるんだけど、ともかく面白くないと熱心になれないとは思うんですよね。

小田嶋:七面倒な説明だったけど、面白がるというマインドセッティングが大事なんだろうな。

これが岡康道の電通入社試験突破作戦の実態だ!

:だから、親が破産したって面白がれば大丈夫なわけでさ。建設作業員のバイトをしていたって、面白いかどうかじゃないですか、結局。これ、つらいと言えば全部つらいし、面白いと言えば、もう、丸ごと面白いよ。

就職試験のときの「文案」はつらかったんですか、ちなみに。

:文案はつらかったです。これはもう大ピンチですよ、本当に。

この「文案」をご説明します。今回はお2人に事前にアンケートを取っていて、その中に「就職試験を突破したキメのひと言、もしくは行動とは?」という質問がありました。そして岡さんの答えが以下でした。

「(電通の)筆記試験の設問で『文案を書け』の『文案』が分からなかった。仕方ないので答案用紙の表に『文』を書いて、裏に『案』を図で表した。『面白かったよ』と、2次面接の試験官に褒められた」。

 小田嶋さん、岡さんの答えは読みましたか?

次ページ 本当に分からないから勝ち残れました