「日経ビジネス電子版」の人気連載コラムニスト、小田嶋隆さんと、高校時代の級友、故・岡康道さん、そして清野由美さんの掛け合いによる連載「人生の諸問題」。「もう一度読みたい」とのリクエストにお応えしまして、第1回から掲載いたします。初出は以下のお知らせにございます。(以下は2020年の、最初の再掲載時のお知らせです。岡さんへの追悼記事も、ぜひお読みください)
本記事は2009年4月24日に「日経ビジネスオンライン」の「人生の諸問題」に掲載されたものです。語り手の岡 康道さんが2020年7月31日にお亡くなりになり、追悼の意を込めて、再掲載させていただきました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(日経ビジネス電子版編集部)
(雪の降る成人の日。自転車で新成人へお祝い電報を届けていた岡青年にとって、その日は自分の成人式でもあった。―― なんていうストーリーが笑い話になるのは、状況に応じて、自分のルールを作り出せるパワーがあったから。って、周りは迷惑?--という話の前回から読む?)
小田嶋:岡の場合は、ルールを自分で作っていたりするから。

岡:究極はそうですよ。人生、どんなときでも、自分で作ったルールで遊べるのが一番楽しいよね。
小田嶋:岡のうちでマージャンをやるとそうだったもん。
岡:そんなことないよ、お前。
小田嶋:いや、岡のローカルルールが出てくるから。
岡:マージャンのルールはマージャンのルールだよ。
小田嶋:こいつのうちでマージャンをやると嫌なのは、シチュエーションを全部つくっちゃうことなんですよ。たとえば、かける音楽とか、決まっているんだよね。
何をかけていたんですか。
岡:その場にまったく合わない曲ですね(笑)。
小田嶋:俺、今、探してるんだけどさ。もう、懐かし過ぎて。お前が死ぬほどかけてた浜田省吾。そう、「ラブ・トレイン」だよ。あまりに懐かしくてさ。
岡:浜田省吾。
ハマショーをかけて麻雀に勝つ!
小田嶋:「路地裏の少年」を出す前だよ。変なバスケットボールの格好をして。
岡:何かめちゃくちゃなころだよね。歌謡曲になる前の浜田省吾、みたいな時期。
小田嶋:ナンパみたいな変な歌なんだ。歌の主人公がバスを追い掛けて走ってたりするという。それを大笑いしながら。
岡:かけながら笑ってるんだよ。感動してるんじゃないだよ、言っておくけど。
小田嶋:君の乗ったバスを~♪ って、おい、こいつ、バスを追い掛けてるよ、なんて言って。
岡:で、気を散らしておいて、ロン、って。
小田嶋:そうそう。しかし走るまでやるかね、ロン、みたいな。あれ、エンドレスでかかっていたからな。お願いだから、やめてくれ、という話だったよ。
そういえば、お前にはバックギャモンも、ずいぶんやられたな。
岡:うるさいな(笑)。
実は公式戦プレーヤーでした
小田嶋:あれも何か、お前が持ち込んできたんだよな。これ、知ってる? 西洋のすごろくだよ、なんて。一時流行ったさ。
岡:そうそう。西洋のすごろくだよ(笑)。江戸期の前に日本に入ってきて、江戸時代に1回、禁止令が出たんですよ。町民がみんなそれをやって、すごいことになったという。ホントかどうか分からないけれど。

小田嶋:自分だけルールを熟知して。
岡:僕ね、小田嶋には内緒でバックギャモン協会に入って、公式の大会にも出ていたわけ。それで、そこまでいってから友達に広めたの。
小田嶋:俺はやられたよ。
岡:あれって、いつだったっけ?
小田嶋:大学のとき。お前が一番貪欲だったころだよ。
岡:あれは10分ぐらいで勝負がついちゃうから。
小田嶋:マージャンだって、5000円かぶるにはそれなりの時間がかかるけど、あれだと一瞬のうちに、すーっと消えていくんだよね。
岡:すーっと2000~3000円はなくなっちゃうよね。
小田嶋:お前はアメフトの試合で腎臓が破裂したときにも、その後にマージャンを打っていたんだよね、信じられないことに。
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