だけど?

:そのうち対戦相手がいないことにだんだん気が付いてね。毎週日曜日に、練習だけしているわけだよ。

試合がないのに。

:ただただ練習だけ。

小田嶋:だから適切なハードルなり、適切な義務なりがないと、きっとだめなんだよね。それに例えば草野球だったら、弱いチームと強いチームの戦い方ってあるけど、アメフトって無理なんじゃない?

:無理ですね。

小田嶋:相手を壊しちゃうでしょう。

:というか、壊されちゃうよね、僕らの場合だと。

小田嶋:それはおやじサッカーをやっている人たちも言っていたよ。草野球はそんなにもろな総力戦じゃないから、おっさんと若いやつがやっても、そこそこ勝負になるけど、サッカーは昔、ちょっと名選手だったような人たちが集まったチームでも、おっさんだと、くそみたいな若いやつらに負けるって。

練習中に救急車が4台来ました

:まず走れないもんな。

小田嶋:やっぱりサッカーっておっさんがやるにはきついって。

:アメフトはサッカーほどきつくはないと思うんだよ、走る量が短いから。

小田嶋:そうか。

:ただサッカーと違って、ぶつからなきゃいけない、というのが問題なんだよ。

小田嶋:危ないでしょう。

:危ないのよ。首の骨とか下手すると折れちゃうからね。U-59でも最初のひと月で、救急車が延べ4台来たからね。アキレス腱断裂が2本でしょう、それと骨折でしょう・・・・・・。

それは練習中に?

:そうそう。

もしかして、すごく迷惑な団体なのでは。

小田嶋:そうだよね。アキレス腱って、昔の感覚でもって走りだすと、違うでしょう、って、プツッと切れるみたいなところがあって。

:それは準備運動不足で切れるんじゃなくて、やっぱり頭の中でイメージ・チェンジができていないから切れちゃうんだ。例えば前傾の角度。若いころはここまで下げられたけど、今は下げられない。だけどボールを持つと、本能で習った通りに前傾しようとする。そうすると、その角度で足を支える柔軟性ってもうないから、折れるか切れるかしかなくなる。

小田嶋:うちの妹がテニスで去年、アキレス腱を切ったよ。

:3歳下だっけ?

小田嶋:届かない球なんだけど、もうちょっと頑張ろうかな、と思ったら切れていた、という。だから本気で追ったらいけないんだよね、あきらめないと。届きそうで届かないところをあきらめていかないと。

それはちょっと人生に通じますね。

才能とは、もしかしたらモチベーションのことかも

小田嶋:トレーニングはそうやって整理していくとしてさ、じゃあモチベーションはいったいどこに持っていけるの? 普通は試合というモチベーションがあって、それでトレーニングができるわけで、トレーニング自体がモチベーションになることはないでしょう。

:そうなんだよ。今までは「もう一度やれる」ということがモチベーションだったの。もう一度ヘルメットを被れるんだ、ということが喜びだったんだけど、でも毎週被っていると、次は「何のために?」となって来る。

小田嶋:月1のクラス会みたいな、変な感じになるんだな。最初は新鮮だけど、というやつ。

:そのうち、体を思うように調整できないとか、家族の理解を得るのが難しい、とかいう現実もチームに覆いかぶさるようになってきて。でさ、メンバーの中でも、昔アメフトをやっていて体育の先生になったという人や、刑事をやっている、という人は動けるんだよね。実際、一番動けるのは、現役の刑事2人。それから次に自営の人が動けるね。自営の人は毎日工夫して、トレーニングの時間をひねり出せるからさ。朝やったり、夜やったり、昼間抜けたりして。

岡さんもそれに入るわけですね。

:言われてみれば僕も自営に近いですからね(笑)。で、一番動けないのはサラリーマンです。それも僕たちの年代だと、営業本部長とかになっていて、時間ないよね、そりゃ(笑)。

小田嶋:ノハラなんかもそうだろう。

:ノハラは誘ったんだけど、やっぱり無理だったね。

小田嶋:モラール、もしくはモチベーションって、実は一番難しい問題でさ。俺、今、ミシマ社というところのウェブのコラムを書いていて。予告編で、次回はモチベーションについて書きます、と言って以来、1カ月書いてないの(笑)。

次ページ 誉められたくて、誉められた僕は、途方に暮れた