現代に立ち戻ってAIを考えてみたいです。AIを活用した人事採用システムが性差別をしたり、犯罪予測システムが人種差別をしたりする可能性が危惧されており、一部で問題が表面化しています。

石黒氏はさまざまなアンドロイドの開発に携わっている。写真は音声認識を用いて人間と自然に対話するアンドロイドの研究開発用プラットフォーム「ERICA(エリカ)」。(写真:©ERATO石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト)
石黒氏はさまざまなアンドロイドの開発に携わっている。写真は音声認識を用いて人間と自然に対話するアンドロイドの研究開発用プラットフォーム「ERICA(エリカ)」。(写真:©ERATO石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト)

石黒:現時点の技術水準においては、一般にAIと呼ばれるコンピューターが人間の手を完全に離れて自律的に判断することはほとんどありません。人間がどうプログラミングし、どのような学習データを入力するかで差別的に振る舞うかどうかが決まります。当然、人は性差別や人種差別をよしとしない現在の価値観に基づいてプログラミングし、学習させる必要があります。結局は人の問題なのです。

自動運転はどうですか。自動運転車による事故への懸念が高まっており、実際に米国で試験走行中に歩行者をひき殺す事故が発生しました。

石黒:自動運転による死亡事故を懸念するより、死亡事故を減らす効果に注目した方が建設的です。日本では高齢者の危険運転が社会問題になっており、人による運転で、年間3500人ほどが交通事故死しています。自動運転車が普及すれば、人による運転ミスが減り、死亡事故は減るはずです。トータルでの効用を考える必要があります。運転しているのがコンピューターであるか、人間であるかは意識しなくてもいいのではないでしょうか。

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