海外100店舗以上を目指す際のハードル

海外1店舗目で撤退せず、複数の店舗を展開できている外食企業は、成功事例と言ってもよいのでしょうか。

小吹:利益が出ているかどうか、利益を出せる見込みがあるのかという点を考慮する必要はありますが、まずは10~20店舗以上の店舗を海外で展開できるようになっているのであれば、海外進出の出だしは上々と言ってよいと思います。そもそも、そこまでの出店数に到達できない企業が多いのですから。

 ただその後、海外事業をより強固なものにするには、さらに海外店舗を増やし、海外で100店舗を超えるような規模にすることが必要です。そこまで到達すると、食材加工の集約や調達のボリュームディスカウントなどでコストを一段と下げやすくなり、変化の激しい海外市場でも、負けにくい経営基盤が出来上がってきます。

 海外事業がそこまで育ってくると、日本の事業が少々不振に陥っても、海外事業で補完できるようになる。国内と海外のポートフォリオのバランスが良くなり、事業リスクにも強くなります。

海外で10~20店舗を展開できた企業が、次に100店舗以上を目指す際の課題は何でしょうか。

小吹:マネジメント層の育成やスタッフの確保など、幅広い意味での、人材の問題だと思います。海外で店舗管理ができる日本人や現地スタッフの育成など、グローバル人材の確保は欠かせません。

 しかも、マネジメント層だけでなく、その下のスタッフの確保も大変です。今は所得や人件費が安い国でも、所得水準がある程度上がってくると、人件費も上昇しますから、現地で従業員を雇うことも難しくなってきます。

 そもそも、日系の外食企業にはグローバル人材が非常に少ない。そのために、海外展開が順調でも、あえて拡大ペースを落としている日系外食企業もあるほどです。

 急ぎ過ぎず、既存の海外店舗で日本人社員や現地の幹部社員を育成して、新しい国の店舗に派遣していくという、地道な人材育成のサイクルが必要になるでしょう。従業員の確保でも、現地の人材派遣会社とパイプを作るなどの工夫をしている企業も出始めました。その国の規制や雇用状況を考えて、様々な対策を考える必要があります。

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