支援するかどうかを見極めるための5つの条件

海外進出支援を引き受ける案件と断る案件は、具体的に何で線引きするのでしょうか。

小吹:重視しているのは、ミュープランニングがこれまでのコンサルで蓄積してきた実績やノウハウから独自に抽出した5つの条件です。

 1番目は、味の必達水準と許容水準を明確化して、それを実現するプロセスを店舗オペレーションへ反映できているかどうか。2番目は、店の売りとなる「勝負商品」の有無と、それを引き立てるサイドメニューがあるかどうか。3番目は、ブランドメッセージが伝わるような内外装のコンセプトの有無。4番目は、現地の所得や物価水準の変動傾向を見据えた価格戦略・ポジショニング戦略を考えているかどうか。5番目は、ほかの日本食レストランとどう差別化し、何を訴求するのかが明確になっているかどうかです。

 これらの条件を満たせば、海外で店舗数を増やしていける可能性が高まると考えています。もちろん、最初からすべての条件を満たしている外食企業ばかりではありません。しかし、ミュープランニングでは、相談を受けた段階で、これらの条件のいくつかをクリアしていたり、コンサルして改善できる見込みがあったりする外食企業を支援するようにしています。

どの条件で苦労する外食企業が多いのでしょうか。

小吹:1番目に挙げた味の水準の明確化やオペレーション構築と、4番目の価格・ポジショニング戦略という、これら2つの条件をどうバランスさせて両立するのかという点が特に難しい。味にこだわりすぎると、どうしても日本からの食材輸出が増えてコストが上がってしまい、価格戦略も変わってきてしまう。一方で現地事情の重視に傾き過ぎると、味のレベルを維持するのが難しくなってきます。

 我々がコンサルを手がける場合、現地での価格設定は非常に慎重に考えるようにアドバイスします。例えば、現地で日本食レストランの利用頻度が高いモニターを使った調査もやります。

 30~40人の現地モニターに目隠しをして料理を試食してもらい、「この味と品質ならば、どのくらいの料金まで許容できるか」を調査します。そこから適正な価格を割り出し、コスト構造も詰めていくのです。

 こだわりが強すぎたり、どうしても日本からの輸入が多くなったりするため、逆のアプローチをする外食企業も多い。つまり、コストを積み上げて価格を決めるというやり方です。このやり方は、現地市場や値ごろ感を無視することになるので、失敗することが多くなります。

 やはり、国内と海外では市場が違うことを認識し、自分たちの商品の現地での価値を客観的に分析できなければ厳しい結果が待っています。オーナー企業や、中堅中小企業が多い日本の外食チェーンでは、この客観的な分析を省略しがちです。

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