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 1年ほどたったある日、欧米人たちは「最初は怖かったが、良い人だと分かったよ」と言い出しました。理由は、そのインド人には父が子供を叱るような温かさがあることが理解できたからです。日本での上下関係はこれに近いでしょう。別の言い方をすれば、英米人の上司はそうした温かみに欠けていることになります。

 しかし、そのインド人は欧米組織には馴染まなかったようで、数年のうちに退職していきました。このインド人は相当のやり手だったのですが、欧米の組織で働く場合はその風土に合わせなくてはなりません。

 このようなエピソードを紹介すると、英米人は本音を隠す陰険な人たちだ、と思う方が出てくるでしょう。けれど、正反対の長所があることも事実です。ある人の性格を「騒がしい」と評価するとマイナスのイメージですが、「ほがらか」と評価すればプラスのイメージになるようなものです。

 英米人は誉め上手です。ちょっとしたことを言っただけでも、That’s a good idea.(それは名案だ)と言ってくれます。人事評価で良いことを並べてもらえるのは、うれしい側面です。誉めることで相手の力を引き出すことができるのだったら、それは素晴らしいことではないでしょうか。

 そのためには、まずgoodがうまく使えるように慣れてください。同じ「good」という表現を使っても、場面に応じて少しずつニュアンスを変えることができます。ここをスタートにすれば、自分の微妙な本音をだんだんと伝えられるようになっていきます。

今日のポイント
英米人は日本人に比べ本音を言わない。良いことしか言わない傾向がある。
形容詞はgoodだけ知っていれば当面は十分だ。これだけでいろいろな意味を表現できる。goodを駆使して英米人のように誉め上手になろう。

goodの変形「not bad」

How are you?
 に対して、
Good.
 と答えるのではなくて、
Not bad.
 と言うことがあります。

 badが否定されたのですから、意味はgoodです。しかし、goodよりも強く、「とても調子がいい」といったニュアンスになります。

Not bad at all.
 という言い方もします。「全然悪くない⇒すごく調子がいい」といった感じです。

 挨拶以外でも使います。例えば、
His performance was not bad. 彼の成績(演奏)はとてもよかった
 となります。

 英米人は言い回しを変えて表現そのものを楽しむ傾向があるので、こうした言い方が生まれたのでしょう。