:広告の賞でいえば、日本のADC賞の方が、全然大変なわけ。優秀なアートディレクターたちがしのぎを削って、3年連続で賞を取らないと日本のADCのメンバーになれない。だから、こっちは僕も会員じゃないんだけど。

小田嶋:日本の方が敷居が高いんだ。

:でもなんかイメージはニューヨークADCの方が上だろう、でかいだろうという感じでしょ。だから僕はプロフィールに必ずニューヨークADC会員って書く。プロフィールをふんふんと読んでいくと、最後に、あっ、世界でも、みたいな。そんなわけないだろうって(笑)。そういうくだらないものだけど、そういうものに弱いよね。

小田嶋:そう、弱い、弱い。だから、そういうものをたくさん作っておいた方がいいよね。浜崎あゆみとかって、何とかネイル賞とか、1年に三十くらいの賞をもらっていたはずだけど、要するに、あげる方にメリットがあるわけだよね。浜崎あゆみにあげました、と言って記者発表をやると記者が来る。その時に、業界団体が自分の業界をアピールできるじゃない。

:ゆうもあ大賞とか流行語大賞とかいうのもそうかな。

小田嶋:流行語大賞も何かあるんじゃないの。

:だけど、メリットは誰にあるの?

小田嶋:確かにあげる方のメリットがちょっと分からないけど。

:そもそも誰がやっているんだっけ、あれ。

小田嶋:ゆうもあ大賞っていうのは、あれ、ゆうもあ・くらぶとかいう、よく分からない……。ゆうもあ、って平仮名で書くという。

「う」ですよね、平仮名も。

小田嶋:清里に昔あった、きっちゃてん、とか平仮名で書いてあるような、そういう感覚だよね。

つい、そっちの方向にいってしまうというような。

小田嶋:あれも気持ち悪いけど、俺が今、嫌な名前は首都大学東京という。もう許しがたい。

:何、それ。

だって駅名は変わってないのに

小田嶋:東京都立大学だよ。

:変えようとしてるの?

小田嶋:もう変わってるよ。

:えっ、都立大学、なくなっちゃったの?

小田嶋:名前はなくなっちゃった。それで今は首都大学東京で。その東京というのが「TOKIO」という感じなんだよ、頭アクセントな感じが。

:首都大学っていうの?

小田嶋:そう。首都大学なら、まあ、それでいいんだけど、結局、あれ、UCLAとかUCBとか、その感じなのよ。カリフォルニア大学ロスアンゼルス校とか、カリフォルニア大学バークレー校とかいう感じ。首都大学東京というのには、そういう文脈、匂いがして、それが気持ち悪いわけ、すごく。

すごく自然に出てきてない名前ですよね。

小田嶋:そうそう。東京が首都だということをすごく強調したい、俺が首都の親分なんだということを暗に示したいあいつ、石原慎太郎のエゴが匂ってくるわけだよ。

一般の人が首都大学東京と使っているのを聞いたことがないですね。

岡康道氏と小田嶋隆氏

:俺、今、初めて聞いたもん、都立大学という名前がなくなったというのを。

2005年からそうです。

小田嶋:岡ってわりと意外なことを知らないのよ。昔からそうだよ。興味のないことに対する無知さというのは見事なものだよ。

:都立大学という駅はどうなっちゃうの?

小田嶋:そのまま。

:あれはそのままなの? ええっ?

 と、立ち止まっている岡さんを残して、次回に続く。

撮影協力:東京目白・花想容(かそうよう) 大正時代の古民家を改装した、カフェで寛ぐことのできる着物店。詳細はホームページから

※当時は東京目白のお店でしたが、現在はリンク先に移転されています

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「人生の諸問題」は4冊の単行本になっています。刊行順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』(以上講談社刊)『人生の諸問題 五十路越え』(弊社刊)

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