全2882文字

キーパーソンの育成がカギ

目先のやらされ仕事ではなく、中期的な目標へと前向きに仕事に取り組むことが、人材開発にもつながるということですか。

矢部:組織の中で人はどのようにして育つのか、産業能率大学は長年にわたって調査をしてきました。それによれば、「仕事そのものが私を育てた」という回答が30.1%と最も多い。「学びのモデルとなる人々との出会い」の18.2%や、「上司・先輩による指導が刺激となった」の12.2%を大きく上回っています。つまり、仕事の経験を通して、人は組織の中で育っていくんですね。

矢部主席研究員は「仕事の経験を通して人は育つ」と指摘する

確かに、「個」が育つのは実際の仕事を通じてだと思います。その「個」がそれぞれ育つことでも組織力は高まりますが、ほかに組織全体のパワーを底上げする方法はありますか。

矢部:職場でリーダーの片腕となるキーパーソンの育成がカギになります。片腕と言っても、部長なら課長、課長なら係長といった具合に、単に1つ下の役職に就いている人とは限りません。その職場にとってのキーパーソンを見極め、育てることが集団のパワーを高めることにつながります。

 実は、リーダーがキーパーソンだと思っている人材と、組織のメンバーがキーパーソンだと感じている人材は異なっていることが多いんです。リーダーは自分の言うことをよく聞いてくれる人を片腕だと思っていても、メンバーからすれば唯々諾々と従っているだけの人だと思っているかもしれない。一方で、メンバーには自分たちの考えを代弁してくれるキーパーソンだと思われていても、リーダーにとっては煙たい存在かもしれません。

 リーダーの片腕であり、メンバーの良き相談役であるという両方を兼ね備えた人物がいればキーパーソンとして最も望ましい。そうした人材がいないならば、メンバーにとってのキーパーソンを見極めて育てるのがいいでしょう。それが組織力の底上げにつながります。

■変更履歴
2ページ目第5段落でJODマネジメントとしていましたが、OJDマネジメントの誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/7/22 11:20]