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四の五の言わずに任せきる

 デレゲートできないということは組織力を発揮することができないということです。敵が「分身の術」で攻めて来たら負けるに決まっています。1人ですべてを背負い込んでシャカリキになって頑張った結果、待ち受けている当人への評価はこのようなもの。

 「個人としては優秀なんだが、組織人としてはねぇ…」

 デレゲーションは、組織のレベルでも使われます。特に中枢に集中しがちな意思決定権を現場に委譲していくことです。任せれば現場にやる気があふれていいことばかり…。そんなふうに思えますが、実際にはこんなぼやきがよく聞こえてきます。

 「委譲されても結局、権限は増えず責任ばかり増えてしまった…」

 デレゲーションのもともとの意味は「遠くへ代表団を派遣すること」でした。いったんデレゲートしたら、四の五の言わず任せきり、どう応援し支援するかを考えるのがマネジャーの仕事です。

デレゲートできないと「レレゲート」される

 「任せ切る」という意味のデレゲーションの反対語は2つの方向で考えられます。1つは、委譲したと言いつつ細々したところまで口を出す「マイクロ・マネジメント」。逆の意味の反対語は後のフォローが一切ない「丸投げ」。どちらも改善の余地がありそうです。

 「任せる」には範囲があります。デレゲートするうえで何よりも大切なことは、範囲を明確にすること。任された方が「全権委任」と大きく解釈してしまえば、行き過ぎも生じます。限定的に解釈してしまえば「任せたのに」ということになるでしょう。どこまでデレゲートしているのかは、事前に確認しておくことが肝なのです。

 別の意味での反対語に当たるのは「レレゲーション(relegation)」。聞き慣れない言葉かもしれませんが、「左遷」です。

 マネジャーは自分自身、デレゲートされてその職にあります。きちんとデレゲートできないマネジャーは、頭文字のDがRに変わって自分がレレゲートされてしまうことにもなりかねません。