このように、リーダーは5人のチームで2~3程度のパフォーマンスしか実感していないという事実が明らかになります。驚くことに、これがこれまでお会いした数千人の経営者やリーダーの8割以上の人たちの実感なのです。
ここで、よく考えてほしいのです。そもそも、我々は5のパフォーマンスを得るためにチームを創るのでしょうか。それは違います。頭数分だけのパフォーマンスを求めるなら、チームを創る必要はないのです。頭数を超えるシナジー、つまり5を超えるパフォーマンスを求めて、初めてチームを創る意味があるのです。
アクションラーニングで原因を探る
ここで、私がチームリーダーにとってチームビルディングが必須であると認識した経緯についてお話ししましょう。私たちはこれまで様々なクライアント企業に対して、組織が抱える多様な問題解決を図ることができる「アクションラーニング」という手法を導入し、解決支援を行ってきました。アクションラーニングは70年以上の歴史を持つ問題解決手法の1つです。

そのプロセスは次の通りです。まず実際の業務で起こっている問題をチームやグループで共有します。ここでメンバーの多様な視点や思考によって真因(問題の本当の原因)を発見し、解決策を立案。それを実際に行動に移し、実施することで確実に問題を解決していきます。アクションラーニングの利点は、実務課題の解決を通じてチームメンバーの能力開発、チームとしての問題解決力の強化を共に進められることです。
多くの場合、第一線で活躍しているリーダーを選抜し、6~8人から成るチームを構成し、協働によって各自が直面している課題を解決していきます。解決策の検討段階はセッションと呼ばれ、質問を原則としたディスカッションによって進められます。セッションの特徴は、対症療法に陥りがちな問題解決をメンバーからの多様な質問によって深掘りし、真因を鮮明にしていくことで、本質的な解決策と行動計画を導き出すことにあります。各メンバーは導き出された行動を、3週間から1カ月先に行われる次回のセッションまでに確実に実践します。
セッションは1つの課題に対して60分間行われ、課題の提示や再定義などを経て、解決策、行動計画の作成に至ります。また、セッションを通じて「内省」することで、自分自身の行動について振り返り、改めて深く考えることもできます。
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