小田嶋:いや、就職1年目で右足を折って、いきなりこれだけのケチがついたら、この先、やっていけるのかな、と。
誰も何も、ケチなんて全然ついてないと思うけど。というか、何で入院していたんですか、その「右足」の時は?
小田嶋:そうそう、右足ね、あれはローラースケートで足を……。
ローラースケート?
小田嶋:はい。ローラーディスコですね。当時、ローラースケートを履いて踊るディスコがあって。
……言われてみれば、そういうのがありました。
小田嶋:要するに普通のディスコなんだけど、リノリウムの床を張って、ゴム底製のローラースケートを履いて踊る。それでまあ、踊っていて、くるっと回ろうと思ったら回れたんだけど、右足が接地したまま、体だけがずずずっと。
岡:何かに似ているな。
確かに今、デジャビュが。
岡:……要するに、今回の怪我と同じじゃないか。(こちらでご確認下さい)
小田嶋:同じ。体だけ回って、足はつま先が残ったまま、体が後ろに行っていた。
岡:本当にそっくり同じじゃないか。
小田嶋:で、ボキッと音がして、折れました、と。
で、40年後に、同じことをするわけですか。
小田嶋:はい、40年後に因果がめぐり。
岡:40年後……そんなにたってないぞ。
正確に言い直すと、35年後に同じことをしているんですね。
小田嶋:逆の足で。
ばか、ですか……?
小田嶋:はい。
岡:それ、大阪で入院したの?
小田嶋:新卒入社して、大阪に配属されていた時でした。だから大阪で入院したんだけど、大阪で入院したことが嫌だったので、そこから飛行機に乗って東京に帰って、入院し直した。それがまた、会社的には問題だったんです。
岡:それはそうでしょう。
大阪で入院、勝手に東京に転院、そして「君が代」事件
小田嶋:俺が大阪にいない、と会社が気付いて、「何でお前は東京で入院しているんだ?」ということになり、「いえ、大阪があんまり肌に合わないので」と。
岡:会社に言ったわけ? それを?
小田嶋:うん、転院してから。
岡:その時点で、もう取り返しがつかないよね。
小田嶋さんは、確かその前に「君が代」事件も社内で起こしていましたよね。

小田嶋:ああ、「君が代」事件。ありましたね。でも「君が代」事件は、右足を折った後、大阪にいったん戻ってからでした。
岡:戻ってからか。ますます、まずいな。
小田嶋:だから「君が代」事件はダメ押しだったということですね。
あらためて聞き直し、読み直しても、最低最悪な新入社員ですね。
小田嶋:まあ、結構ね(笑)。それはひどかったです。
(→と、左足をテーブルに乗せた小田嶋隆、58歳の春だった。次回に続く。)
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