:あのですね、レントゲンもお見せしながら、さんざん説明したでしょう。靭帯は骨と骨を結ぶものです。

小田嶋:そうそう。筋肉ってものは、骨に直接付いているものでしょう。でも骨と骨をつなげているのは、腱だったり、靱帯だったりする。そういうことじゃないですか。

:それで僕は50歳になってアメリカンフットボールを再開した後、54歳か何かの時に、今度は前十字靭帯を切っちゃったわけですよ。いよいよ2本目の靱帯が切れちゃったな、と医者に行ったところ、今度は医学も変わっていて、「プレーに戻りたいのだったら手術した方がいい。でも、引退を考えているなら、今さらつなげなくても別に大丈夫。その代わり、少なくても週に1回は筋肉のトレーニングをしなくちゃいけないですよ」と言われたんだ。考えてみれば、シニアで無理してアメフトをやるよりも、ジムでの筋トレの方が体にもいいでしょう。だから、そっちを選んだわけですよ。

小田嶋:俺もこの入院が終わった後、1年半たったら、人工プレートを抜くよ、という話になっているわけ。

:1年半たったら、プレートの支えを抜きにして、体重をかけられる。

小田嶋:そうなるよ、という話なんだけど、今、靱帯をつなげちゃっておくと、次回のプレートを抜く手術の時に、靱帯が邪魔で切らなきゃいけないから、どっちみち靱帯の話はその後だ、と。

靱帯、あと何本?

結局、小田嶋さんは、どのくらいのご入院になるんですか。

小田嶋:どうなるかはまだ分からない、と言われています。まずは12週間たって、足に体重がかけられるようになってから、リハビリをして、ひざが痛むのか痛まないのか、階段は上れるのか上れないのか、ということを見ながら判断するしかない、ということです。

本当に、よく分らないですね。

小田嶋:まあ、ともかく、取りあえず骨が付くのを待とうよ、というふうになっていますよね。俺の場合は、半月板も何もかも全部、粉々になっちゃったから、全部取ったでしょう。医学はいろいろ進歩しているんだけど、骨が付く、付かないに関しては、いまだにすきっとする治療法は確立されていないらしくって。

:靱帯が2本なくたって、僕はゴルフもできるし、マージャンもできるし、別に全然問題ないですよ。だから小田嶋も大丈夫だと思うんだけど。

小田嶋:ただ、ひざの負担を減らすために、体重はどっちみち減らさなきゃいけない。どちらかというと、減量の方に重点が移ってきている。

:そうね。僕にしても、靭帯があと1本切れたら、ひざが逆側に曲がっちゃうかもしれないから、「残っている2本は大事にしなさい」と、医者に言われています。

人はそうやって「幸福な王子」と化していくんですね。

※「幸福な王子」:オスカー・ワイルドによる短編。街に立つ王子像が、親友のツバメを介し、像を飾る宝石を不幸な人々に分け与え、ついに落魄した姿となり果てる。子供のころに読んだ人も多いことでしょう。

(→第3回に続きます。)

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「人生の諸問題」は4冊の単行本になっています。刊行順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』(以上講談社刊)『人生の諸問題 五十路越え』(弊社刊)

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