:外語大は北区だったのか。

小田嶋:北区の西ヶ原にあったんですよ。西ヶ原というのは、渋沢栄一が住んでいたという高台のところなわけで、東大にも若干近いでしょう。でも、俺ら赤羽組は東大じゃなくて、1個外している。そこのところがすごいのよ(笑)。

地勢的な刷り込みが入っているんですね。

小田嶋:外語大のすぐ前に親戚が住んでいたのもあって、子供のころの俺は東大より外語大の方が、全然上だと思っていた。それが今は府中の方に移転してしまったんだよね。

:え、いきなりそんな離れたところに?

小田嶋:北区は捨てられてしまいました。大学があるかどうかって、でかいのよ。だって東大の周りのやつってさ、別に勉強はできなくても、東大の付近で暮らしている、ってだけで全然違うよね。東京大学があるということは、周りに学生街があり、教授さんの自宅がありということで、街全体にすてきな空気が漂っている。

不動産の価値は大学が決める?

:確かに不動産価値が落ちない最大のポイントは、どのレベルでもいいから大学があることだと聞いている。

小田嶋:何かよく分からないけど埼玉県で浦和の地位が高く、土地の値段もいいというのは、浦和が文教地区で、かつての県庁所在地だからということだと思うんだよね。だって、本当は川口の方が東京に近いし、便利だし、いろいろな意味でいいはずなのに、地価というのは東京から川口に行くと落ちて、浦和に向かって上がっていくわけだ。だから、地方が日大とか東海大の分校をやたら誘致するのはそれなんだよ。

:最近、葛飾区が東京理科大を誘致して強気になっているとか、いろいろあるでしょう。

小田嶋:芸大の千住キャンパス(東京都足立区)とか、東大の柏キャンパス(千葉県柏市)とか。

北区、危うし、じゃないですか。

:子供が少なくなっているから、キャンパスも都心に戻らざるを得ない時期になっていると思うんだけど、そうでもないのかな。

小田嶋:バブルの一時期の、キャンパスを遠くに置くというプランは潰えているよね。青学の淵野辺のキャンパスとか。

:え、淵野辺って、どこ? 都心?

正しくは「相模原キャンパス」で、所在地は神奈川県相模原市。最寄り駅はJR横浜線の「淵野辺」です。

:それ、遠いんじゃね?

小田嶋:あれはね、神奈川の厚木にあったものを、淵野辺に移転したの。だから近くなったの、あれでも。

:そうなのか。

小田嶋:一方で、早稲田の所沢キャンパスは、トコキャンという呼称が定着しちゃって、一向に動く気配はないですね。ちなみにトコキャンという言い方は差別用語ですからね、あれ。

:僕たちが在学していた当時、所沢にキャンパスを作るんだ、といううわさが流れていたことは覚えているよ。

タカシ、消える

小田嶋:早稲田の大学の連中と西武の堤が裏でつるんで、西武線沿線に何かを作るつもりでいる、と。革マルが反対していましたよ。…あっ、とですね。実は今日、ラジオの収録が午後からあるんですよ。ですから俺はそろそろ失礼しなければならない。

え。こちらはロケハンが始まったばかりだと思っていましたが。

小田嶋:いや、あのですね。あれは生番組っぽいものなので……と、こう(歯切れが悪い小田嶋さん)。

ふーん。今日は小田嶋さんの約束失念で、スケジュールがだいぶ押したわけですよね。でも、収録はちゃんと覚えているんだ。

小田嶋:……。

そっちを覚えていて、何でこっちの約束は覚えられないのかしら。

小田嶋:あ。う。ともかく、次回。次回にもっといろいろ回りましょう。で、遅れるとまずいので、失礼します(あたふたと店を出る小田嶋さん)。

 朝っぱらからの「まるます屋」その他、強烈な赤羽キャラクターとの遭遇など、赤羽でやり残したことは、まだ残っている。次回に続きます。

赤羽のアーケード街の天井では、猫たちがお昼寝中でした。
赤羽のアーケード街の天井では、猫たちがお昼寝中でした。

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「人生の諸問題」は4冊の単行本になっています。刊行順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』(以上講談社刊)『人生の諸問題 五十路越え』(弊社刊)

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