自分で手帖なり、スケジュール表なりは付けないんですか?
小田嶋:書いてはいる。書いてはいます。
岡:確かに小田嶋は、麻雀だけは忘れないんだよ。
記憶力は基本的に抜群ですものね。
小田嶋:……。
編集Y:あのう……ついでに私も言わせていただいていいですか。最近、原稿の締め切りも厳格になっているんですよ。当たり前のことなのですが。それで、締め切りを過ぎても原稿が届かない場合は、編集者の管理責任を問う、ということになって、私は掲載前日の木曜日になるたびに、とても胃が痛む思いをしております。
小田嶋:すみません……。
編集Y:いえ、ところがですね、小田嶋さんが木曜の夜に麻雀をやるとなると、その前に原稿がちゃんと入るんです。ですから、むしろ木曜に麻雀を入れてほしい、というお話でして。
岡:そう来たか。だったら、木曜日に何が何でも麻雀を入れないとね。
編集Y:それも、できれば午前中に。
岡:おいおい、それはいくら何でも、僕にしたって……。
赤羽を離れないのはなぜなのか
オダジマ先生、よろしいですか。
小田嶋:はい。分かりました。
では、気を取り直して、赤羽編を始めしょう。
岡:赤羽……お前もなかなか出ていかないね、この街を。
小田嶋:おそらく家賃が高くなくて、車がなくても生活できる場所で、電車ですべての場所に移動できて、と言う意味でとても住みやすい場所なのよ、ここは。
岡:しかも赤羽は、ちょっとしたブームになっているというじゃないか。
漫画家の清野(せいの)とおるさんが描いた『東京都北区赤羽』のシリーズが大変人気になって。
岡:清野さんの弟?
はい。(もちろん冗談ですからね)
小田嶋:清野(せいの)さんとは「新潮45」で赤羽対談をしたんだよ。
今回もゲストとしてお願いを差し上げたのですが、漫画がお忙しいことと、「小田嶋さんとはもう対談をしたからいいです」ということで、かないませんでした。では、そろそろ赤羽の散策と行きましょう。小田嶋さんは今日、どこに連れて行ってくださるのでしょうか。
小田嶋:駅前からスタートするならば、「まるます家」「いこい」あたりから入って、「OK横丁」とかを通って、私の母校の赤羽小学校とかに行きましょうか。
岡:僕、ちょっとお腹が空いている気もするんだよね。
小田嶋:だったら朝っぱらから全開営業の「まるます家」で決まりですね。そこで腹ごしらえをしましょう。
飲み屋街の中に、ぽつんと小学校が
「まるます家」に到着しましたが、なんと、休店日です。
岡:残念だね。
その代わり、店の脇に救急車が横づけされて、ご高齢のおじさんたちが取り囲んでおられます。
小田嶋:何が起こったのか……。
岡:たぶん他の店で昼酒を飲み過ぎたんじゃないか。
小田嶋:その可能性は高い。何しろこの辺りは都内屈指の昼酒寛容区域だから。
岡:どんなエリアなんだ。
そんなエリアのど真ん中に小学校が見えます……。
小田嶋:東京都北区立赤羽小学校です。俺の出身校で、創立140周年にならんとしている。俺は昔、学級委員で、学旗の上げ下ろしをやっていた。このあたりの伝統校なのよ。
岡:といっても、すぐ隣は飲み屋街。すごい立地だよね。こんな伝統校、文京区にはないだろう。

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