小田嶋さんをだまくらかして、柿を運ばせた時は、どこにお住まいでしたか(これは懐かしの第1回、こちらを)。

小田嶋:あれは第二天神荘時代の話ですね。

:第二天神荘時代は、友達を呼ぶスペースもあって、わりとお友達も来てくれたね。

小田嶋:あれは6畳だったか。

:6畳に2畳のキッチンが付いて、合計8畳みたいな。だから、ああ、割と広いじゃない? みたいな感じで(笑)。

小田嶋:「岡康道・千早町すごろく」を作らないとね。3コマ進んで大きな家に引っ越したら、ここで破産して1回休み、とかね。

:共栄荘から、第二天神荘にアップグレードとかね。

小田嶋:俺はあれ、転落して天神荘かと思っていたけど。

:じゃないの。上がって天神荘なの。それで、共栄荘から天神荘に引っ越しをしなくちゃいけなかったでしょう。わずかな荷物とはいえ、引っ越しの金はもちろんない。そこで早朝に、ノハラの家をたずねたわけだよ。

使えるものは何でも使え

小田嶋:俺んところのおふくろが、部屋の模様替え要員として頼りにしていた、ガタイのいいノハラ。

:都電の終点の尾久にノハラの家はあったんだけど、これ、普通に「引っ越しを手伝ってくれ」とやったら、断られちゃうでしょう。それで朝7時ぐらいに、ピンポンピンポンとやって、「ノハラ君起きていますか」「いや、まだ寝ていますよ」「じゃ、ちょっと失礼します」って、2階へ上がって「ノハラ、ノハラ」と起こしたんだよ。

小田嶋:寝起きを襲って。

:ノハラは、「おお」なんて驚いちゃているんだけど、「お前んち、バンがあるだろう。ちょっとバンを運転して、付き合ってくれ」と、何だかよく分からないうちにノハラのバンに乗って、よく分からないうちに引っ越しを始めて。

そういう時、小田嶋さんはお呼びがかからないんですか。

:だって役に立たないじゃないか。ノハラはアメフト選手で、100キロぐらいあるから。まあ、引っ越しが終わったら、ノハラは「調子が悪い」とか言いだして、帰ったらそのまま風邪で寝込んじゃったんだって。しかも、あの日は俺の誕生日だったんだぞ、と言っていましたね。

互助の精神、というか、ひたすらな奉仕ですね。

:そういう経緯で、第二天神荘になって、それでお友達も呼べる部屋になった。

小田嶋:成り上がったんだね。あれが上昇局面だったというのは、俺は初めて知った。

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