小田嶋:よそ者ってね、遠くから来て、ある日、知らない土地に流れ着くと、必ず川筋につかまるんだよ。俺も大阪に行った時がそうだった。元からずっと大阪にいる人たちというのは、何となく台地の方に上がっていくんだけど、外から入ってきた人たちって、駅から10分とか15分で、しかもこっちの方が家賃が安いじゃん、みたいなところで選んで、それで川筋に落ち着くんだよ。
岡:便利なところは川筋だ、ということは歴史も証明している。
小田嶋:地元の人間は、「あの辺はちょっと住むにはね……」なんて言っているんだけど、よそ者は知らないから、やっぱりそっちに行っちゃうよね。
岡:あと、そもそも関係ないからな。どうせここには長くいないしな、とか思っているわけじゃない?
小田嶋:そう、関係ない。それで、偏見も持ってない。よそから来た人って、シンプルに家賃価格でしか考えないんだよ。
千早町には、千川通りという道路も通っているけど、これも矢端川のこと?
千川は上水にあたる人工の流れです。千川上水は江古田方面に抜けています。
岡:日芸(日本大学芸術学部)があるところね。
小田嶋:この間、江古田に住んでいるやつに聞いたんだけど、江古田駅のあるところって、江古田じゃないんだってね。
岡:何だ、それ。
なぜ「江」と「古」と「田」なんだ?
小田嶋:話は豊島区から離れるんだけど、江古田は住所表示で言うと、中野区江古田というものがあって、練馬区江古田はない。練馬区は旭丘という地名のところに、江古田駅がある。
岡:「ねぶた」と「ねぷた」みたい。
小田嶋:うちの近所には、「堀船」があって、町名は「ホリフネ」なんだけど、中学校は「ホリフナ」だったりする。そういうのは東京に多いよ。
岡:江古田って、不思議な音だよ、あれ。「江」と「古」と「田」が、なぜくっ付くの? 周辺は「椎名町」とか「東長崎」とか、普通に受け入れられる名前なのに、何であそこだけ、江古田になっちゃうんだろう。
小田嶋:田母神みたいな並びだよね(笑)。
岡:江古田駅は「エコダ」と読むでしょう。だったら、中野区の町は「エコタ」ですかね。
中野区の方は「エゴタ」と、中が濁ります。
岡:ええっ? そんな、中が濁る読み方なんて、ないよ。おかしいでしょう。それ。
Powered by リゾーム?