岡:僕はこの間、北海道に行った時に、あのホテルに泊まりましたよ。
小田嶋:Wホテルか? まだあったんだ。
岡:あったんだよね。40年前の喫茶店はなかったし、喫茶店にいた、あのきれいなウエイトレスはいなかったけど。
小田嶋:かわいかったね、あの人(笑)。
※この辺りは、しょうもない話ですが、シーズン1のこちらをどうぞ。
小田嶋:あれは旅先だから、たぶん2割増できれいに見えていたと思うけど。
旅というか、正しくは受験で行ったんでしょう。
小田嶋:いや、旅だよね。
岡:受からない前提だから、あらかじめ失意の旅ですよ。こんなに悲しい北帰行はないよ。
小田嶋:あの女の子、細かくは覚えてないけど、なんてすてきだったんだろうって。
まだ言ってる。
過去をリセットできない時代
岡:小柄な人だよ。
小田嶋:そうそう。細かくは忘れちゃっているんだけど。
岡:大きな人ではないよね。俺だって覚えてないけど、会えば分かるかな、って。
分かるわけ、ないと思いますが。
小田嶋:冷静に考えると、60歳ぐらいになっちゃっているでしょうから。
岡:……写真もないからな。写真を撮っていればね。今の子だったら、スマホですぐ写真を撮って、それでLINEでしょう。
小田嶋:今は、俺たちの時のような「溜め」がなくなっちゃっているよね。いつでもLINEでつながっちゃっていて、「お久しぶりです。どうしていらっしゃいましたか?」というのがない。
岡:Wホテルの喫茶店でアルバイトをしたその後、どこそこに就職して、結婚して、こんなことをしていて、と逐一分かってしまう。
小田嶋:うちの息子なんかもそうだけど、会ってはいなくても、中学校の同級生とかの経歴はフェイスブックなんかで全部把握しているわけよ。「あ、あいつなら〇〇に就職して、何か北海道にいるらしいよ」とか。
岡:僕たちの時代は、中学を出て、高校を出て、いったん全部、別れ別れになりましたからね。
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