小田嶋:図書館って、案外人生ですごい部分を支えているんだよね。俺も人生の中で図書館ユーザーであった時代があって。

いつですか。

小田嶋:大学に入ってからの1年、2年と、正味1年半ぐらいなんだけど(笑)。

:大学の図書館には行ってないはずなんじゃないの。

小田嶋:赤羽図書館は結構行ったの。早稲田の図書館って、何かこう、敷居が高かったんだよ。

:敷居、高かったっけ? というか、どこにあったっけ?

小田嶋:確かうわさでは法学部の横だった、と。

岡さんは法学部でしたよね。

:俺、忙しくてさ。

小田嶋:何か、行ってみても、本を借りる雰囲気じゃない図書館だったんだよ。ここは本なんか借りるんじゃなくて、必死に勉強するところでしょう、みたいな空気が耐えられない場所だったの。

:そうそう、あったあった、法学部の横。そういう意味では僕も行きましたよ。だって僕は法職課程を取っていた時期がありましたから。

小田嶋:そうだね。一瞬、そういう夢を見ていたよね。お前は法職課程も取っていたし、京大受験にもかなり未練を……。

:そうそう、夢を見ていたんだけど、親父の倒産によって、いろいろ環境が変わって。

褒められたいから、本を読む

小田嶋:俺は岡以上に、その時代の岡を何でも覚えているけれど、一浪したけど来年は京大に行くから早稲田は腰掛けだ、ぐらいな感じでいたのが、だんだんアメフトに足を取られていって……。

:そうそう、あれがいけなかったんだよ。アメフトのチームを途中で辞めるわけにはいかないでしょう。というか、自分の中でだんだんくじけてきちゃったんだよね。

最後、すごい正確な言い方ですね。

:うん。

小田嶋:だから大学の図書館はすごく勉強するところで、パノラマ式に参考書と六法全書を並べて、ノートを開いて、がしがしに勉強するところだった。

:あそこでは、読めないよね。

小田嶋:それで、俺は本を借りるというのは地元の図書館に決めて、大学1年ぐらいに、何かに憑りつかれたように本を読んでいた。

:何を読んでいた?

小田嶋:難しい本ですね。それこそサルトルのような。サルトルなんかは、高校時代に名前を知って会話には出していたけど、実は読んでなかった。

:読んでなかっただろう。今、振り返ると、みんな、読んでいるふりしていた。ただ、僕は読んだふうにも感じたんだよね。だって、みんなが読んでいるって思っていたから。

そんな都合のいい……。

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