
日経ビジネス2015年9月14日号の特集「あなたに迫る 老後ミゼラブル」では、高齢者が直面している危機的な状況を描いた。十分な貯金だけでは、孤独死や犯罪など待ち構えるいくつもの“落とし穴”を回避することはできない。そこで重要になってくるのが、家族や地域、知人らとの“つながり”だ。
だが、行政などがつながりを機械的に作ることはできない。例えば、ある80代の女性は「どんなに体が不自由になり、思考力が落ちたとしても、“チーチーパッパ”だけはやりたくない」と話す。
チーチーパッパとは、老人ホームなどで集団で行うアクティビティーのことを指す。彼女には、それが「お年寄りを馬鹿にしている行為」のように感じられ、強い嫌悪感を抱いている。
子供の遊ぶ声に眦を吊り上げる高齢者
確かに、高齢者にとっての幸せを、下の世代が勝手に忖度することはできない。
最近、子供のボール遊びを禁止する公園や、防音壁を設置した保育園が増えている。苦情を申し立てているのは高齢者が多い。日中も自宅にいる高齢者は、子供の甲高い声を「騒音」として認識している。高齢者は目じりを下げて子供の姿を優しく眺めるもの――。こんなステレオタイプなイメージはもはや幻想に過ぎない。
次の東京五輪開催を控え、日本ゲートボール連合は「高齢者のスポーツ」というイメージから脱却するため、若年層への普及に力を入れている。高齢者はこうだろうとの決めつけと、実態とのギャップが広がる中で、ゲートボールはすでにかつての役割を終えたのかもしれない。
(この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年9月29日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)
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