岡:あと、例えば俺が若いやつに、何かでちょっと珍しい飯をご馳走している、と。それで、若いやつがその飯を食いながら「たこしゃぶなう」って、写真を撮ってやっている。ね。ふざけるな、と。俺が金を払っているんだよ、何だその態度は。ということを言いたいけど、言うとすごい嫌われるだろうな、と思って言わないんだけど。
「たこしゃぶなうと書いたら目の前の岡さんがキレるなう」
小田嶋:前に、産経新聞の「天声人語」みたいな欄で、偉いおっさんの記者が「若者たちよ、ツイッター経由での会話よりも、目の前の人間とのコミュニケーションを大事にしなさい」みたいなことを書いて、ネットの人たちから大反発されていました。
岡:どういうふうに反発されるの?
小田嶋:クソおやじが何言っているの!?みたいな。
小鳥たちが囀る目隠しの歌
岡:その、若者側の反論の根拠は何なんだろうか。
小田嶋:若者とは限らないぞ、という話が1つあるけど、論拠としては、そうされているんだとしたら、あんたがよっぽどつまらないんだろうよ、という話で。
岡:仮に俺がつまらないとしたら、それはそれでいい。でも、だったらじゃあ、お前の分はお前が払え。俺、それなら文句は言わないよ。でも、俺に出させておいて、その態度はないだろう。それはおかしいと思わない?
おかしいです。
岡:おかしいよね。
小田嶋:そりゃ、おかしいよ。それで産経のコラムに関しては、ネット上で反論がすごく渦巻いていたから、じゃあ世間は総反発しているのか、と言えば、コラムの内容に「その通り」とうなづいているやつは、間違いなくたくさんいたと思うんだよ。だけど、ツイッターのようなネット空間には、「俺もそう思う」という同意があまり出てこない。
岡:それはきっとそうだよね。何かに対して「ノーだ」と言う方が言いやすいし。
小田嶋:そのコラムについて読者1000人に聞きました、というのをやってみれば、たぶん700人ぐらいが「俺もそう思う」と言うかもしれない。だけどツイッターでは、「何このクソおやじ!?」という、とにかく反発の方が8:2ぐらいで目立つ。だからあれって、言論空間を少しゆがめているんです。
かつての高校の同級生が語り合う「人生の諸問題」から生まれた3冊目の書籍、『いつだって僕たちは途上にいる』。『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』と主張してきたふたりと、呆れつつも暖かく伴走してきた清野由美(今回、帯でブチ切れていますが。なにかあったのでしょうか)。しょうもない話が一気に高尚に駆け上り、それ以上の速度で駆け下りる独自のリズムの対談を今お楽しみいただけます。心の中に永遠の中学二年生がいる皆様と、そんなオヤジたちが理解できない、もしくは理解したいと考えている健気なあなた、両方を満足させる一冊です。
(「人生の諸問題 令和リターンズ」はこちら 再公開記事のリストはこちらの記事の最後のページにございます)
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