岡:広告撮影用に風景をロケハンする時には使えたんだよ。ロケハンでは、3チームぐらいが同時に散って、誰かがどこかにいい場所を見つけたら、即連絡を取り合ってそこに集合するから。
小田嶋:実質トランシーバーみたいなものだね。小学生の少年探偵団みたいな趣だ。それで言うと、スキー場でトランシーバーを持っているばかたちがいた時代もあったもんね。
岡:いたいた。「私をスキーに連れてって」。
小田嶋:俺は持っていなかったけど、すごく欲しかった。スキー場に行くと、今はここのゲレンデにいて、今度はこっちの斜面に行くぞとか、行かないぞとか、何かそういうリア充の青春があって。ああ、俺も持ってきとくんだった…って。
岡:ばか。
ポケベルの歌もありました
小田嶋:あと、携帯が広がる前にポケベルという時代が一瞬あったでしょう。あの時代って、本当にほんの一瞬だったんだけど、新聞社、通信社、放送局、週刊誌のやつらと株屋さんたちが持っていて、「犬の首輪と一緒だよ」とこぼしながら、どこかうれしそうだった。

岡:本当を言うと、ちょっとうらやましかったね。俺、あれ、持ってみたいな、と。
小田嶋:ポケベルは役人も結構持っていたんだよ。俺がよく飲みに行っていた四谷のスナックは役人の客が多い店で、ポケベルが鳴ると全員が「俺のか」と緊張して、当たった本人がだだだだだっ、と店の階段を下りて公衆電話に向かう。そういう姿を何度か見ていました。
岡:今度のiPadって話をするんでしょう。
小田嶋:何が?
岡:明日の天気はナントカカントカ、とか。
小田嶋:ああ、Siriのこと?
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