岡:相当な用件があって、もう電話しないとこの話はまとまらない段階って、あるじゃないですか。例えば同窓会のために赤羽まで来たけれど、その先の道が俺は分からないとか、そういう時だけだよね。
小田嶋:岡とは無駄話はしないね。
マージャンのアポはどうするんですか。
小田嶋:だからアポとかは取るけど。
岡:それはアポを取るだけ。僕、電話すらが、そもそも苦手なんです。きっとそれで、何人かの方には不愉快に思われているんだろうと思いますけど、電話が苦手というところから来て、もうだめなものがどんどん増えてきちゃって、困った時代だよ、本当に。

小田嶋:俺も電話はあんまり好きじゃないの。それで一度、何かあって岡に電話したら笑われたこともあったもんね。「お前、何だよ、電話なんかしてきて」と。
それは何年前の話ですか。
小田嶋:もう全然学生のころの話だけど。
昭和時代ですね。
小田嶋:岡に電話したら「お前、寂しいのかよ」って。以来、こいつに電話すると笑われるんだと思って、俺の方から電話したことがない。
岡:ないね。ないない。
そうしたら今の若者とは本当に違いますよね。
小田嶋:そうですよ。「下駄をならして奴がくる」(注・70年代半ばは、かまやつひろしのこの歌声が響いていました)の時代ですよ。
女の子と長電話とかしなかったんですか。
イチャ電じゃなくて、モメ電
小田嶋:それは必要に応じてせざるを得なかったことはあるけど。
岡:それは学生時代の話だよね。学生時代、しなかったですよ。なぜならば女の子の家に電話するに当たっては、家の電話は茶の間にあるものだったから、「ちょっと外を走ってこようかな」なんて家族に言って、外へ行かなきゃいけなかった。
小田嶋:公衆電話を目指してね。
岡:そう、公衆電話の時代ですよ。でも10円玉にだって限界があるわけですよ。おふくろの財布から取るわけにはいかないし、自分で貯めた10円だから、もともとそんなにはないよね。それから、名目上は外をちょっと走って帰ってくるぐらいの時間しかないわけだから、そんなに話せない。向こうだって同じような状況だから、やっぱり話せないじゃないですか。
小田嶋:いわゆる普通のいちゃいちゃ長電話というのはないよ。
岡:ないない。
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