「日経ビジネス電子版」の人気連載コラムニスト、小田嶋隆さんと、高校時代の級友、故・岡康道さん、そして清野由美さんの掛け合いによる連載「人生の諸問題」。「もう一度読みたい」とのリクエストにお応えしまして、第1回から掲載いたします。初出は以下のお知らせにございます。(以下は2021年の、最初の再掲載時のお知らせです。岡さんへの追悼記事も、ぜひお読みください)

 本記事は2012年6月26日に「日経ビジネスオンライン」の「人生の諸問題」に掲載されたものです。語り手の岡 康道さんが2020年7月31日にお亡くなりになり、追悼の意を込めて、再掲載させていただきました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

(日経ビジネス電子版編集部)

いつだって僕たちは途上にいる』(岡康道×小田嶋隆)

 この6月に「人生の諸問題・シーズン3」をもとにした単行本の第3弾『いつだって僕たちは途上にいる』(講談社)が刊行されました。五月雨式に連載してきた岡康道さん、小田嶋隆さん、そして清野由美さんのこの企画、開始からもうすぐ5年が経ちます。早いものです。

 今回からしばらくの間、単行本販促企画としまして、「シーズン4」をお送りします。早い話プロモなんですが、なんだか一番これまでの中で、清野さんと編集部が当初目論んでいた本題、「ウェブ時代のコミュニケーション作法」に迫っているような、いないような…(担当Y)

振り返るに、この対談が「日経ビジネスオンライン」で始まったのが2007年。その時はツイッターもフェイスブックも、スマホもiPadも、日本の日常にはまったく存在していませんでした。

小田嶋:5年の間にずいぶん変わりましたね。

ツイッターが流行し始めた当時、この対談で小田嶋さんは「うかつに参入しないでよかった」とおっしゃっていましたが、その後、実にナチュラルに参入されました。

小田嶋:そうですね。すみません。

そのあたりの変化からうかがっていきたいと思います。

:だとしたら、僕の方が簡単なので最初に申し上げますけれど、僕は何もやっていません。ツイッターもやったことありません。フェイスブックもやったことありません。

じゃあ、今回は主に小田嶋さんにお話をうかがうということで。

クリエイティブディレクター 岡 康道氏(写真:大槻純一)

:ちょっと。

小田嶋:本当は、岡はやるといいと俺は思うよ。

:えー。

小田嶋:岡は絶対に向いているよ。

:何に?フェイスブックに?

小田嶋:いや、フェイスブックは面倒くさくて触らないだろうから、ツイッターぐらいですね。かかわり方的にも、文字数的にも。

140字以内ということで。

ツイッターにネタはいらない

:嫌なこと言うね。でも書くことがないもん。

小田嶋:書くことがなくても、ツイッターでは、誰かが言ったことに返事をすればいいんだよ。岡ってアドリブ方面の人だから、何かがあってそれに返す、ということの方が、何もないところから何かを浮かばせることより得意でしょう。実は俺もそうなの。もともと、誰かに何かを聞かれたり、つつかれたりしないと何も出てこないノーテーマな人間だから。

:ツイッターやフェイスブックはどういう仕組みなのかな、とか、やっている人のを見てみようかな、とか、その辺の知識は広告を作る上でも必要になってきちゃったので、勉強はしていますけれども、自分ではやらない。だいたいソーシャルネットワークとか言う前に、僕と小田嶋って電話することだってないんだもの。あったとしても年に一度ぐらいでしょう。

そうなんですか?

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