小田嶋:ていうか、これ、「鳥になりたい」って、違うだろう。「翼をください」じゃなかろうか。

:あ。

「鳥になりたい」を検索すると新井満が出てきます。

小田嶋:しかも歌っていたのは、「五つの赤い風船」じゃないぞ。「赤い鳥」だぞ。

:あ。

小田嶋:これ、素晴らしく複合的な間違い方をしているね。「赤い鳥」の「鳥」がタイトルに入っているでしょう。

:うん。

小田嶋:それで五つの赤い風船の「赤い」が歌手の方に入っているでしょう。

:うん。

小田嶋:それで正しくは「赤い鳥」の「翼をください」。お前の間違え方の基本が全部入っているよね。

:うるせーな(笑)。

間違え方にも才能が表れる?

小田嶋:これは才能の1つだよ。記憶って、タグを付けて圧縮して覚えているでしょう。その圧縮ファイルを展開するときに、正確に再現する人と、クリエーティブに再現する人がいるんだけど。

:まあ、そうだよね。

小田嶋:圧縮の段階でかなりアーカイブ的に狂っているものなんだけど、それを展開するときに、さらにいろいろ修飾を付けて展開するものだから、ごみの付いた混濁したものが出てくる。

:ごみじゃなくて誤謬と言ってくれ。

小田嶋:その間違え方に才能って表れるんだけど、この、岡の、何というクリエーティブな間違い方。

:自分で挙げといて何ですが、これは何年の歌ですかね。

これは1971年です。

:高校1年か、いや、中3ぐらいか。

小田嶋:あれは長いこと、サッカー日本代表の応援ソングになっていたというのがあって、ドーハの悲劇のときなんかに鳴りまくっていた。

次ページ 思春期よりも物理的な制約ですか!