本記事は2013年8月29日に「日経ビジネスオンライン」の「人生の諸問題」に掲載されたものです。語り手の岡 康道さんが2020年7月31日にお亡くなりになり、追悼の意を込めて、再掲載させていただきました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

(日経ビジネス電子版編集部)

引き続き、「青春の音楽」をテーマに語っていきます。前回は岡さんから「若者たち」「いつまでもいつまでも」「海は恋してる」という前世の記憶が出てきました。今回は小田嶋さんの思い入れを語っていただこうと思いますが、それにしても小田嶋さんのタイトルは、何だか趣味のいい曲ばかりじゃありませんか。

<小田嶋隆の「青春の音楽」>
「Don’t Think Twice, It’s All Right」(1963年) ボブ・ディラン
「Happiness is a warm gun」(1968年) ビートルズ
「Pale Blue Eyes」(1969年) ルー・リード
「僕のコダクローム」(1973年) ポール・サイモン
「恋に気づいて」(1977年) 浜田省吾

小田嶋:順番に語っていくと、「Don’t Think Twice, It’s All Right」。これはいろいろな人がカバーしていて、俺的にはエリック・クラプトンのバージョンなんだけど、元歌はボブ・ディランの「くよくよするな」という有名な歌なんですよ。

:ボブ・ディランね。

これって実は相手をくさしている歌なんです

コラムニスト 小田嶋 隆氏
(写真:大槻純一)

小田嶋:「くよくよするな」と訳されているんですけど、「Don’t think twice」だから、「何度考えても仕方がないよ、これでいいのさ」という意味合いだと思うんですね。で、これは別れた女をディスる歌なんです。


※ディスる=否定する。ネット界で用いられているスラングです。

 これはポップソングのお手本のような、素晴らしく良くできた歌。だから、「きれいなメロディーでいい歌ね」みたいに聴かれている感じがあるんだけど、「別れた女をくさしていて、結構毒のある歌ですよ」ということを私はご紹介したかった。だって日本の歌って、だいたいがカッコつけて、別れた女のことを褒めるでしょ。

:やせがまんしてね。

小田嶋:でも、この歌は「僕の名前を呼んでも、もうだめだよ。だいたい君はそんなこと、1度もしたことがないだろ」という感じで、若干の未練を含めながらも、相手をとてもくさしている、と。

続きを読む 2/8 それが小田嶋さんの青春と何の関わりが?

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