岡さんは、これらの音楽をどういうシチュエーションで聴いていたんですか。

:深夜放送ですよね。部屋で1人、勉強するふりをして、ずっとラジオを聴いていたみたいなころ。

小田嶋:まさしくこれから70年代が始まるという。

:自分はまだ中学生だから、そういう恋の歌みたいなことがないわけですよね。でも、もうすぐ来るわけでしょう。

小田嶋:だから、こういうイメージで恋というものを形成してしまったんだね。お前、ここで恋のイメージトレーニングをしたのが失敗だったんだよ。

:完全に失敗だった。

照れて笑いをとりに行くところが早稲田の限界?

あの、このセリフは、泳げないから何だと言っているんですか?

:泳げないから、海が失恋して涙があふれたら困るよなあ、となっていくんですよ。

じゃあ、1人でいるわけ?海の前に?

:1人でいる。

海に向かって1人でぶつぶつ言っているの?

:海と話しているんだよ。

小田嶋:そう、海と話している。

それは聞くからにだめだわね。

:いや、だから恥ずかしかったんだよ。

小田嶋:そう、恥ずかしかったんだろうね。だから「海はすてきだな、恋してるからさ」というね、いかにもなポエムの中で、その「泳げないんだもん」という落ちになっていく。ポエムを詠んじゃったけど、やっぱり最後に照れて笑いをとりに行っちゃったというところが、早稲田の限界ですね。

(次回に続きます)

おじさんたちの青春の光と影は、意外に面白い
いつだって僕たちは途上にいる』(岡康道×小田嶋隆)

 日経ビジネスオンラインきっての長寿コンテンツ、ひいては小田嶋隆を“再び”世に出した当連載(自慢)が、みたび単行本になりました。五十路を越えたお二人が、青春時代を振り返る、かと思えば、現世の悩みにドリフトし、すべりにすべって横道に逸れていく、そこにキヨノ姐さんがぐさっとブレーキ。暑くて眠れない夜に、ページを開けばくすくす笑いと共に、気持ちがちょっと楽になる(かと思います)。効能は是非、購入してお確かめくださいませ(Y)

(「人生の諸問題 令和リターンズ」はこちら 再公開記事のリストはこちらの記事の最後のページにございます)


「人生の諸問題」は4冊の単行本になっています。刊行順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』(以上講談社刊)『人生の諸問題 五十路越え』(弊社刊)

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