:それで「若者たち」は、それとかぶってくるわけ。だから僕の中では、強烈なものなんです。

小田嶋:お前が高校で社研(=社会科学研究会)に入っていたりしたのはそれか、というのが今、分かってきたよ。

:そうだろう。あの現場を見たんだから。

小田嶋:社研って当時の典型的な左翼サークルだった。その社研に入るって、内申書的な観点で見たら、あり得ないんじゃないの、的なムードがあったことだもの。

:社研だと、大学入試で学校推薦とかは、まず受けられなくなる。

小田嶋:いわゆる履歴書に傷、みたいな感じだよ。なんで入ったの?

:人数が集まらないと社研がつぶれちゃうからと、ナンバに誘われたんだ。でも、誰でも彼でも、誘うわけじゃない。例えば柔道部のやつを誘ったりはしない。まあ、そのナンバは高校を辞めちゃったんですけどね。

それはマージャンのときのBGMです

小田嶋:ほら、1年上にNさんっていたじゃん。

:うん、いた。

小田嶋:あの人は、ゲバ棒まではいかなかったけれど、もろバリ封鎖とかして、激しくやっていたわけ。それで、一浪して京大医学部に入ったんだよね。

:えっ、そうなの?

小田嶋:高校3年間、闘争をやっていたら、成績とかはぐちゃぐちゃなわけだよ。それが1年浪人して京大医学部っていうのが、カッコいいったらありゃしない。そういうことを見聞きして、「そうだったのか・・・俺も一浪して京大か」って思っちゃうわけ。

:Nさんは一浪して京大医学部に行ったんだから、じゃあ、俺たちはまだいいか、みたいに(笑)。

小田嶋:そんなわけは、全くないんだけど。

次は小田嶋さんの曲にします。「恋に気づいて」byハマショー。「出た!」という選曲です。

:これはね、何回も言っているけど、マージャンのときのBGMなのよ。

小田嶋:もう100回は聴いているよ。

:これは高校3年生のとき、学生運動も受験勉強も、何もかもが冷めて、やる気がなくなっちゃったときに聴いていた歌。

小田嶋:この歌の男は、女が乗っているバスが走り去っていくときに、窓をたたいて自分の電話番号を叫んでいるんだよ。

どうせ遊びの恋と心を閉ざして、朝焼けの停車場で別れた、と。

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