:あとは「青春とはなんだ」(1966年~67年)を忘れちゃいけないよ。「青春とはなんだ」「これが青春だ」「でっかい青春」「進め!青春」と来て、「飛び出せ!青春」(1972年~73年)。主題歌は「太陽がくれた季節」。「青い三角定規」だよ。

小田嶋:今、挙げるとかなり恥ずかしい響きだね…。

:ははは…。

小田嶋:自分がリアルな高校生になると、ちょっと見てられない。

:見てられない、見てられない。こんなんじゃねえぞ、って(笑)。

小田嶋:違うぞ、こらっ、て。

:だって高校のとき「同棲時代」(1972年)をドキドキして見ていたけど、大学へ行ったら、あんなことは起きねえぞって。

小田嶋:あれも全然違う。

:だってあれは地方出身のやつの話なんだよね。家が東京にあると、同棲するチャンスはないんだよ。

小田嶋:同棲しているやつもさ、たいてい揉めていたよね。

:しかもね、いい女は同棲なんかしてなかった。

(ため息)また、今回もそういう展開になりますか。

小田嶋:何か貧乏くさくて、所帯くさくって。こんなんなら俺はいいや、と。

:そう。実際に見るとうらやましくない。女が年上だなんて聞いても全然。

はいはい。

なぜ札幌ワシントンホテルを覚えているのか

コラムニスト 小田嶋 隆氏
(写真:大槻純一)

小田嶋:でも、地方へ行くと、女の人はさておき、食べ物がおいしかった。ほら、北大を受けに行ったとき、あらゆるものがうまく感じたじゃない? 北海道はただのジャガイモがこんなにうまいぞ、と。(毎度おなじみ、北大受験のお話は「シーズン1」のこちら、「受験」と「恋愛」と「デニーズ」と、で)

:だからあれね、負けているんです、気持ちが北海道に。

小田嶋:そう、気持ち的にね。

:北大になんか受かるわけねえよ、と思いながら、一方で北海道はおいしいな、と。

小田嶋:実際、ジャガイモもうまかったんでしょうけど、俺たちが高校生の時代は、東京のものってまずかったのよ。ほら、スパゲティナポリタンとか、くそまずかったでしょう。でも、札幌ワシントンホテル喫茶部のスパゲティはうまかったのよ、本当。

:あそこにいた女の子が、ちょっとかわいかった。

小田嶋:かわいかった。

:かわいかったよな。

結局それですか。

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