岡:いや、小田嶋だって、観れば泣くと思うよ。
小田嶋:俺は在学中、とても学校が大っ嫌いだった学生だから、あんまり校歌に対する思い入れとかないのよ。
岡:そうか。僕だって、ほかではそういうことはないけどね。だけど、あの、つかの演劇で聞こえる「都の西北」は・・・。
小田嶋:俺自身は学校にシンパシーがないやつだけど、校歌の持っている何かってあるよね。「若き血」(慶應義塾大学応援歌)とか「紺碧の空」(早稲田大学応援歌)とかが流れちゃったときって、いわゆる走馬燈が回り始めて。
ノスタルジーとは別に、帰属意識とかが刺激されるのでしょうか?
岡:僕にはそういうものがありますね。
小田嶋:俺にはそれもないけど、ある時期に限定的にたくさん鳴っていた音楽ということで、ぐるぐるが始まることはあるよね。そういう意味で特別なのかもしれない。
岡:僕の場合、帰属意識というのは、会社ではなく、大学が一番強いんです。何か集団の一員であるって、それだけで少し酔えるじゃないですか。まあ、戦争ってそうやって起きちゃうんだけどさ、有事には俺って意外といい兵士になっているぞ、と思うけど。
小田嶋:軍隊向きなんだ。
宣伝省でしょうか。
帰属意識はどこにある?
岡:危ないなあ(笑)。何というか、大学にはそういうのを僕は感じますね、会社にはもちろん感じないけど。高校時代は、友達のことは思い出すけど、だからといって高校時代に何か強烈なものがある、というわけではない。
小田嶋:俺はどっちかというと高校の方がシンパシーは強い。
シンパシーと帰属意識とは、またちょっと違う?
岡:シンパシーは明らかに高校の方が強いですよ。だけど集団に帰属したというのは、やっぱりチームスポーツのせいで大学の方が強い。
小田嶋:岡の場合はチームスポーツもやっていたけど、大学4年間が波乱万丈だったでしょう。
岡:父親が破産して失踪して、大学が金を出してくれた、という恩義がある。
小田嶋:一種、奨学金のようなものを、がさっと貰っていたでしょう。
岡:一種、じゃなくて、奨学金だよ、奨学金。
小田嶋:そうか。
岡:その帰属意識という言葉で、もう一つ重要な映画を思い出したよ。
何でしょう。
岡:「グッド・シェパード」(2006年アメリカ ロバート・デ・ニーロ監督 フランシス・コッポラ制作総指揮)ね。ある日、早稲田大学教育学部の小田嶋隆さんの許にCIAが訪れて、「あなたが選ばれました」と告げるんだよ。
(選ばれてどうする? 続きます)
『ガラパゴスでいいじゃない~人生2割がちょうどいいPart2』
日経ビジネスオンラインの大人気連載が、再び書籍化されました。
「人生の諸問題・シーズン2」に、内田樹さんと小田嶋隆さん、高木豊さんと岡康道さんの対談を加えて大幅加筆。
グローバル化を超える人生哲学、ガラパゴス化。その深淵を語り尽くします。
お買い求めはこちらから!
大好評の単行本第一弾『人生2割がちょうどいい』も絶賛発売中! 併せて読めば人生も仕事も、さわやかな青空のようにスッキリすること請け合いです。
『人生2割がちょうどいい』はこちらからどうぞ。
(「人生の諸問題 令和リターンズ」はこちら 再公開記事のリストはこちらの記事の最後のページにございます)
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?