当時はいつ観ていたんですか。
岡:いろいろなところで観ていました。勤務時間中も観ていましたし、勤務時間外も観ていましたし、だからもう家に帰らないわけだから、家庭崩壊と引き替えにいろいろなものを手に入れた俺、という。
電通は勤務時間中に観ることに関しては寛容だったんですか。
岡:電通のクリエイティブはオーケーでした。当時の標準は、映画、行ってきます、でよかったんです。
小田嶋:家に帰りたくないというのが1つ、背中を押すあれになっていたみたいな?
岡:というか比較にならない。というか、家に帰るべきか、どうしようかな、と迷うこともなく、ともかくクリエイティブを何とかしなければいけない、という最大の問題があった。だって自分の浮沈、死活がかかることでしたからね。
そして、その蓄積が生んだCMとは
小田嶋:クリエイターとしてCMを作り始めたのはいつぐらいだったの?
岡:営業からクリエイティブに転局して4年ぐらいたってからですね。ということは、4年間ぐらい仕事をしていなかった。だって何も作ってないんだから、誰も僕に頼んでこないわけですよ。
小田嶋:それはそうだな。
岡:だから時間はある。忙しくない。
小田嶋:そうか、勉強だけしていた、みたいな期間があったんだ。
岡:勉強だけしていました。
小田嶋:そういう、ぶらぶら者も置いてくれる会社だったの?
岡:そうだったんだよ。
小田嶋:素晴らしいね。
岡:ただ、あまりにも何も作ってないから、「いいかげんにしろ」的なことはあって、そろそろ不向きなら不向きで対応を考えなきゃな、みたいなことも言われ出して、このまま行ったらやばいな、という感じにはなっていたの。それで4年目に初めてメジャーといえるCMを作ることができた。それまでの蓄積をもとに。
それが結実したのがミラパルコのCMだったんですね。
「♪買ったら当たるよ サイパン旅行 ヘイ 日本じゃ地味でも サイパンじゃ美人♪♪」と、砂浜のセットで水着のお姉さん、サングラスのお兄さんが歌って踊る。
岡:・・・・・・。
(続きます!)
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