小田嶋:その辺は全部、マイクロソフトのOfficeで足りるという話になって一種のラッダイト運動のようになって、もう。
岡:打ち壊し運動ね。お前、よくそんな言葉が出てくるな(苦笑)。
小田嶋:ブルーカラーがやっていた仕事が、全部機械で代行できるようになって起きたのがラッダイト運動だけど、今は、コンピューターがホワイトカラーの職場を奪っているというところの、「ホワイト・ラッダイト運動」という言葉を新設しなければならないですね。
岡:そうしたら、21世紀のラッダイトはコンピューターを壊すことか。
小田嶋:だから今いわれている、クラウドコンピューティングとか、それこそITとか、携帯、スマホとか、ああいうものに対する40~50代の人間のそこはかとない敵意というのは、やっぱりそこなんだよね。
岡:そうか、なるほど。それで中高年で思い出したんだけど、俺が最近気になっているテーマがあるんだよ。それはまさしく中高年がスターになっている映画。
ということで話題が映画に戻りました。岡さん、ナイスです。
岡:よかったでしょ。例えば「アンストッパブル」のデンゼル・ワシントンとか、「ウォール・ストリート
」のマイケル・ダグラス。それから「世界最速のインディアン
」のアンソニー・ホプキンス。この3本なんかは、もう60歳ぐらいの人がこんなにカッコいいのか、みたいな感じで、そういうものに反応しちゃうわけよ。
で、それは自分の年代のせい?
岡:そうですよ、自分の年代のせいですよ。悪かったですね。
ハリウッドのメッセージは「じいさんになっても、ハゲても大丈夫」
小田嶋:かっちょいい現場のおやじ、最後のあがき、みたいな映画ですよね。あれはハリウッドというものを支えている、ハリウッド的願望の表れだよね。俺、小さいころに日曜洋画劇場で「ローマの休日」とか、あの辺の一連のオードリー・ヘプバーンだったりの映画を観ていて不思議だったのは、どうしてこのお姉ちゃんは、このおじいさんと付き合っているんだろう?? ということだった。
言われてみれば・・・。

小田嶋:だってヘプバーンって「ローマの休日」当時は、22~23歳で、我々からするとお姉ちゃんぐらいの人なんだけど、グレゴリー・ペックとかは子供から見れば、はっきりとじじいだった。で、このじじいと、お姉ちゃんがどうして付き合うのか? ということは、ハリウッドでは男は60歳になってもちゃんと魅力的なんだぜ、という映画を定期的に撮っておかなきゃいけない、という何か強迫観念があるんだという。
岡:なるほど、そうかもね。
小田嶋:だからブルース・ウィリスとかは、ハゲても大丈夫だぞ、心配するな、というところを担っているし。
小田嶋:ハゲていてもセクシー、女にもてまくるぞ、というのを担っているよね。
岡:この間のサッカー選手のルーニーのコメント、面白かったよね。増毛したんですか、と聞かれたときに、「当然じゃないか、だって俺はまだ25歳なんだよ」って(笑)。
ああ、また映画から離れてしまいました・・・。
(果たして映画の話に戻れるか…次回に続きます)
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(「人生の諸問題 令和リターンズ」はこちら 再公開記事のリストはこちらの記事の最後のページにございます)
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