:でもね、僕は夜は自炊をしていたんですよ。飯付きの家庭教師を探したわけだけど、さすがに毎日それじゃないから。

どんなものを作っていたんですか。

:カレーですね。それとシチューですね。

小田嶋:要するに、ルーがあってというやつだね。

ちなみに具はあったんですか。

:もちろんありますよ。それで、冬なんかだと結構持つじゃないですか。

小田嶋:三日三晩ずっとカレーじゃないですかね、当然。

:当然、そうなりますよね。あと、野菜で言えば、パセリって長くて、でかいじゃないですか。

セロリね。

:ああ、セロリ。セロリにマヨネーズを付けて食う。それが野菜類。

小田嶋:当時はコンビニというものがないから大変ですよ。

:風呂もなかったですからね、僕。ということは、風呂に行く時に、横にあるコインランドリーで洗濯もしなくちゃいけない。風呂と洗濯に結構、時間が取られちゃうわけです。だから、なるべくなら行かないということがいいわけで、アメフトの練習の後にシャワーを浴びたら、もうその日はオーケーにしちゃおうと。

洗濯は?

:は、しない。それで溜まっていく。

大学名は、村の名前みたいなもの

岡さんの輝ける孤独と自由の日々って、それなんですね。

小田嶋:何かが匂ってきますよね。

:ははは。

さて、気を取り直して、早稲田放浪編の命題となっている「早稲田vs慶應」ですが、大学を出て社会人になった後に、早稲田出身、慶應出身の差異を感じたことはありましたでしょうか。

小田嶋:どうでしょうね。世間の人たちにとっては、名前のある大学を出ているかどうかは、結局そんなに大事なこと、区別することじゃない気がしてますけどね。

:世間は区別してないけど、会社の中にはあったと思いますよ。例えば新入社員って分かりにくいから、「小田嶋って誰だっけ……ああ、早稲田のな」という風に、村の名前が付いているみたいな感じで、区別に使われていた。

 だから早稲田であることには必然的に意味があるわけですよ。ちなみに僕の配属された部は部員が6人いたんですけど、そのうち4人が早稲田でしたもん。

小田嶋:そういうことはあるよね。

:早稲田出身の部長は、「誰を採ってもいいよ」となったら、「慶應だと合わないんじゃないかな?」みたいなことで、取りあえず早稲田のやつを採っちゃうわけです。

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