岡:生活だからね。
高木:だから選手もサラリーマン化しますよね。でも、だったら発想を思い切って変えて、通常の企業の組織論を持ち込んだっていいじゃないか、と思うんです。会社の部署をチームに応用したっていいでしょう。
打撃課とか、守備課とかを作るんですか?
高木:いやいや、そうじゃなくて。監督のブレーンに十年一日のごとく球界のOBを呼ぶのではなく、社会の成功者に協力を仰ぐとかです。

だって球界のOBに話を聞いたって、自分がやった過去の経験ばかりでしょう。それはあまり意味がないと思うんですよ。それより、自分の会社を中小企業から大企業に成長させた経営者から話を聞いて、それをチーム運営にあてはめれば、ずっと参考になると思うんですね。
例えばチームをバッティング部門、守備部門、走塁部門に分けて、それぞれにキャプテンのような責任者を置く。それぞれのグループをポイント制で競わせて、シーズンの最後にトップを取ったグループには1億円の賞金を付ける。そういった責任感と競争意識を持たせれば、組織として絶対に活性化していきますよ。
そういうシミュレーションも、ご自分でされているんですね。
岡:相当、監督をやりたい(笑)。
現実の目標からすべては始まる
高木:それは置いといて。ともかく横浜は優勝なんかとんでもない話だ、というのが現実なんだから、だったら当面必要なのは、チームとしての現実的な目標ですよ。簡単な目標でいいから、まず自分たちができる明確な目標を上が提示して、そこへチームを向かわせる。そんな単純なことからです。
どのあたりが目標になると思いますか。
岡:まず最下位を脱しろ、ということですよね。
高木:その辺りは、野村さんなんかはうまいです。5位になったら、次は4位。4位になったら次はクライマックス・シリーズ、と。
高木さんからご覧になって、マネージメントがうまくいっているチームはあるんですか。
高木:ジャイアンツはやっぱりうまくいっていますよね。なぜかというと、チーム内での競争が高レベルで激しいから。そのレベルに伴って誰一人規律を破っていない。ウォーミングアップの時間でも、帽子を脱いでいる選手はいないし、ユニフォームを着ていない選手もいない。でも横浜のキャンプを見に行ったら、帽子は取っているわ、スパイクを履いてないやつはいるわ、で、もうだらだらでしたから。
岡:キャンプの雰囲気からして、違うんだね。聞いていてちょっと悲しくなった。
高木:そもそも、その規律がゆるんでいるということが、いいのか、悪いのか、ということ自体、横浜の選手は分かっていないんじゃないかと思う。「いや、いいじゃないか、アップなんかやりやすい格好で」と、思っているのかもしれない。でも、そういう基本から正していかないと、その後の修正は難しくなるし、チームの統制は取れなくなる。
それは仕事のオンはスーツで、という企業社会人の基本と同じですよね。Tシャツと短パンで打ち合わせに出て、「あ、この人、できる人だな」と、思われることはないですものね。
岡:それはあり得ないです。
逆にジャイアンツはなぜ、高いモチベーションを維持できているんでしょうか。
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